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「古い」量子コンピュータから「新しい」量子コンピュータに頭を切り替える。
   

「古い」量子コンピュータから「新しい」量子コンピュータに頭を切り替える。

2020.09.02

量子コンピュータの技術は日々発展しています。これまでは超電導量子ビットと呼ばれる超電導を利用したものが主流でしたが、2020年にはイオントラップと呼ばれる新しい方式のものが登場しました。すでにいくつかのプラットフォームで利用が可能です。

特徴は、エラーが少ない、量子ビット同士の接続が多い、多くのゲートを実行できるということです。

また、一方これまで量子コンピュータのアルゴリズムは発展を遂げており、従来の大学教育や研究で利用されていた汎用アルゴリズムと呼ばれるものはほとんどの利用がなくなってきて、NISQと呼ばれるエラーありの量子コンピュータを利用したハイブリッドシステムが主流になっています。

NISQハイブリッド計算では、元々VQEと呼ばれるアルゴリズムを出発として、現在では機械学習を含む様々な応用がされていますが、利用する量子ゲートの種類が従来と変化しています。

古い量子コンピュータは量子位相推定や暗号解読のshorのアルゴリズムをベースに、桁上がり中心の論理構成となっており、量子ゲートもCNOTゲートやHゲートなど古い構成になっています。この頃にはまだ量子コンピュータのハードウェアがなかったので、理想的な状態を想定していますが、実際に出てきたハードウェアで実行できるものは違うことがわかってきています。

一方2020年で主流のハイブリッド方式は、1量子ビットの任意回転ゲートRX/RY/RZなど、場合によってはU1/U2/U3と呼ばれるゲートが利用されます。また、2量子ビットゲートもCXの他、XXやZZ、swapなどがあり、こちらはハードウェア由来の傾向が強くなります。

これは超電導量子ビット、イオントラップ型に限らず共通するもので、利用する量子ゲートをモダンなものにする必要があります。もちろん大学や初歩的な教育の現場ではCXやHゲートは重要ですが、企業の先端の現場ではもはや大事ではありません。

また、このような任意回転ゲートや任意の2量子ビットゲートはハイブリッドシステムでは全て機械学習や最適化アルゴリズムで自動最適化を行います。もはや人間の踏み込める領域ではないので、計算はマシンにお任せします。

ここで、新型の量子コンピュータのイオントラップマシンで利用できるゲートセットがだんだんわかってきました。イオントラップマシンでは特に2量子ビットゲートが特殊で、モルマーソーレンセンゲートと呼ばれるGHZ状態を作るゲートセットがベースになっています。2量子ビットゲートの記述は従来のCX/CNOTゲートからXXやZZへの書き換えが必要です。

これら二つのCXからXXやZZへの書き換えは工夫が必要です。また、相互変換は量子ゲートを大量に消費しますので、書き換えもリソースを消費しないことが重要です。

今後は、イオントラップ方式に特化した形で量子回路を書く方法を紹介します。

1量子ビットゲート:U1,RZ

2量子ビットゲート:ZZ

1量子ビットゲートは回転角度を指定できるU1任意回転ゲートとRZを利用します。2量子ビットゲートはここでは固定回転のZZを利用します。それぞれの行列表現は、

\[U_1(\theta,\phi) = \begin{bmatrix}cos \theta/2 &-ie^{-i\phi}sin\theta/2 \\-ie^{i\phi}sin\theta/2 & cos\theta/2 \end{bmatrix}\]

\[R_z(\theta) = \begin{bmatrix}e^{-i\theta/2}&0\\0&e^{i\theta/2}\end{bmatrix}\]

\[ZZ = \begin{bmatrix}1&&&\\&i&&\\&&i&\\&&&1\end{bmatrix}\]

マシンによってU1の定義やRzや位相シフトの定義が違いますが、だいたいこんな感じです。

XYZなどの固定回転は上記の角度を指定することで実現できます。量子コンピュータの計算回路の前のデータ準備段階では利用することがあります。

また、X,Y平面上の回転はU1で行い、Z平面の回転はRzで行い、Hゲートなどもうまく組み合わせることでできます。CNOT/CXはU1とZZとRzの組み合わせでできます。

従来のソフトウェア資産も面倒な場合には自動変換もありますので、そういうものを利用し、新しくソフトウェア資産を作る場合にはどちらのゲートを使うかは任意だと思います。

今後はこれまで未知のものが増えてくるので、先入観を除外してどんどん新しいことに入っていきましょう!

では、クオンタムの御加護を!

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