common.title

Overview
Service overview
Terms of service

Privacy policy

Contact

Sign in
Sign up
common.title

量子シミュレーションの基礎:ラビ振動

Hikaru Wakaura

2021/06/30 13:06
#量子シミュレーション

今回は、量子シミュレーションを実際にどのようにして行うのか解説します。今回使用する系はラビ振動です。これは最も簡単な時間発展系の一つです。2準位間に遷移双極子モーメントが存在する場合、その準位間に相当する電磁波を照射することで、時間変化する量子重ね合わせが作れるというものです。この現象は量子計算にも利用されちます。まずはラビ振動のハミルトニアンとその時間発展を説明します。

ラビ振動: 2準位系を考え、そのハミルトニアンが時間発展する場合を考えます。そんの場合、波動関数は、 \begin{equation} \mid \Psi \rangle = \sum_{j}e^{-i/\hbar E_j t}b_j(t)\mid j \rangle \end{equation}

となります。ここで\hbarはディラック定数で、プランク定数を2π2\piで割ったものです。シュレディンガー方程式を簡略化して、

\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0&e^{-i/\hbar(E_1-E_0)t}\langle 0\mid H_D \mid 1 \rangle \ e^{i/\hbar(E_1-E_0)t}\langle 1 \mid H_D \mid 0 \rangle & 0 \ \end{array} \right)=i\hbar\textbf{b}'(t) \end{eqnarray}

となります。 非対角項は遷移相互作用です。これは遷移双極子モーメントと電磁波のベクトル内積としてあらわされます。こうして式(2)は、

\begin{eqnarray} E\left( \begin{array}{cc} 0&e^{-i/\hbar(E_1-E_0)t}cos\omega t \mu_{01} \ e^{i/\hbar(E_1-E_0)t}cos\omega t \mu_{01}^* & 0 \ \end{array} \right)=i\hbar\textbf{b}'(t) \end{eqnarray}

と改められます。

この式は回転波近似を施すことで、時間依存しない形に直せます。指数項と外部電磁波の部分はω=(E1E0)/\omega=(E_1-E_0)/\hbarの場合には、時間依存しない項と2ω2\omegaに依存して時間発展する項の和になります。後者は平均がゼロになるため寄与は無視することが可能です。そのため前者のみとします。こうして、

\begin{eqnarray} \frac{1}{2}E\left( \begin{array}{cc} 0&\mu_{01} \ \mu_{01}^* & 0 \ \end{array} \right)=i\hbar\textbf{b}'(t) \end{eqnarray}

となります。 後は通常のシュレディンガー方程式と同じです。これを解いて、

\begin{eqnarray} b_0(t)&=&cos\frac{E \mid \mu_{01} \mid}{2\hbar}t \ b_1(t)&=&sin\frac{E \mid \mu_{01} \mid}{2\hbar}t \ \end{eqnarray}

となります。

シミュレーションとその結果: これらのものはblueqatで容易にシミュレーション可能です。1量子ビット系においてはσ0xEμ01/2\sigma_0^xE \mid \mu_{01} \mid /2をこの記事の時間発展ゲートによって量子ビットに印加するだけです。今回はEμ01/2=π/2TE \mid \mu_{01} \mid / 2 = \pi/2Tとします。ここで、Tはシミュレーションを行う時間フレーム数で300とします。 図1[1]を見ると、ラビ振動の1周期が再現できていることがわかります。しかしこれだけでは、RyR_yゲートのシミュレーションしかできません。次回は、位相付きラビ振動のシミュレーション方法を解説します。

[1]https://cloud.blueqat.com/user/c8a0bf40-51b7-41d4-84bd-d62137b45b98/lab/tree/blog/img/blogRabi1.png

© 2024, blueqat Inc. All rights reserved