この度、バンドン大学のサスクモト教授と共に「Tangent Vector Variational Quantum Eigensolver: A Robust Variational Quantum Eigensolver against the inaccuracy of derivative」と題した論文を投稿いたしました。この論文は、われわれが考案したTangent-Vector VQE(TVVQE)という手法について説明し、それにおける計算結果と優位性を示すものです。この手法は、エネルギー固有値を最適化した後、試行エネルギーの代わりにその一次微分を最小化することで、局所解を避けて精度良く目的のエネルギー固有値とその状態を計算するというものです。その結果、わずか励起状態において2回の計算反復回数でその他有名な手法と比較して、明らかに高精度の計算が可能になる事が明らかとなりました。収束を見ると、水素分子における結合長の厳密解(0.7414Å)において、全状態においてその計算結果が化学精度を上回りました(図1)。この手法は、一次微分を並列計算することで時間を短縮しさえすれば、これから世に出るであろうFault-Tolerant-Quantum-Computer(FTQC)として利用可能な100量子ビットNISQコンピューターにおける有力なアルゴリズムとなりえます。 <img src="https://assets.blueqat.com/public/uploads/us-east-2:62eba507-efdc-48b7-85a9-2f09d417847c/2021/05/07/XFig2v.png"/>図1 水素分子における各状態の収束。 <a href="https://arxiv.org/abs/2105.01141" rel="noopener noreferrer" target="_blank">[2105.01141] Tangent Vector Variational Quantum Eigensolver: A Robust Variational Quantum Eigensolver against the inaccuracy of derivative (arxiv.org)</a>

論文掲載のお知らせ

Hikaru Wakaura