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イベントレポート Google AI Quantum、継続的な進化

Quantum Business Magazine 5 months ago


Googleが先週開催した量子サマーシンポジウム。彼らはそこで、量子開発を続けていることを示す幾つもの進化を語った。


まず初めに、Colabノートブックで動作する、Quantum Virtual Machine(QVM)と呼ばれる無料のプログラムについて。Googleは、まだ量子プロセッサを公開していない。しかしQVMを使えば、誰でもそのプロセッサをエミュレートして、プログラムをテストし、量子マシン上でどのように実行されるかを確認することができる。量子シミュレーターは他にもたくさんあるが、QVM の主な特徴は、量子ビットの減衰、ディフェージング、ゲートエラー、読み出しエラー、接続の制限などの指標を含む Sycamore プロセッサの測定値をプログラムしている点だ。この機能は、エラー緩和アルゴリズムなどの分野に取り組む研究者にとって非常に有用であり、研究者は実際のプロセッサを使用する場合よりもはるかに迅速かつ容易にプログラムをテストすることができるようになるだろう。

彼らのテストによると、QVM上でプログラムを実行した結果は、実際のSycamoreプロセッサー上で同じプログラムを実行した結果と非常に近い相関があることが分かっている。QVMの詳細については、Quantum AIのサイトに掲載されたブログ QVMのページ 、およびソフトウェアのドキュメントページ を参照。


続いて発表されたのは、Cirqのバージョン1.0を正式リリースしたことだ。Cirq は、Googleのオープンソースの量子SDKで、2017年から開発が進められている。過去5年間、リリース番号は常に0.Xという形で、まだ開発中であり、完全な正式リリースには至っていないことが見て取れた。1.0への昇格は、ソフトウェアがより成熟し、安定していることを示し、1.1、1.2などのマイナーリリースがリリースされても、壊れるような変更を導入することはないでしょう。現在、数百の量子ビットと、数千のゲートを使用するような量子プログラムに対応することができる。

また、TensorFlow Quantum、OpenFermion、Pytket、Mitiq、Qsimなど、Cirqと連携可能なライブラリがいくつか公開されている。Cirqは、AQT、IonQ、Pascal、Rigetti、IQM、Azure Quantum、そしてもちろんGoogle自身のハードウェアと、そのQuantum Virtual Machineを含む、多くのバックエンドからもサポートされている。Cirqバージョン1.0の詳細は、Googleのサイトに掲載されているブログ 、プラットフォームのウェブページ 、ソフトウェアのGitHubリポジトリ を参照。


Googleをはじめとする多くの企業が、エラー訂正可能で、フォールトトレラントな量子コンピュータを開発することを目標としていることはご存じの通り。そして、これが可能であることを示す実験に取り組んでいるグループの、興味深い研究記事が数多く発表されている(例えば、 )。

問題は、現在利用可能な量子ビットの品質が、それほど良くないということだ。そのため、誰かが複数の物理量子ビットをグループ化して論理量子ビットを作成すると、追加された量子ビットが別の潜在的なエラー源となり、グループの論理エラーレートが、単一の物理量子ビットのエラーレートよりも悪くなってしまう。そこで、複数の量子ビットをグループ化したとき、グループの論理誤差が改善されるように、量子ビットの物理誤差を改善することが目標となる。このような現象が起こる1つの量子ビットの物理的な誤り率を、誤り閾値と呼ぶ。

そうすることで、より複雑なコードを実装することができ、コード内でより多くの量子ビットがグループ化されるにつれて、論理エラー率がますます低下するようになる。Googleは、「Suppressing quantum errors by scaling a surface code logical qubit」と題した最近の論文で、このことを初めて経験的に実証している。

具体的には、まずSycamoreプロセッサに、17個の量子ビットをグループ化した距離-3誤り訂正符号を実装し、3.028%±0.023%の論理誤り率を達成したのだ。そして、49個の量子ビットを用いて距離5符号を実装し、2.914%±0.016%の論理誤り率を達成した(コードワードのハミング距離の定義はこちらを参照 )。

これは、4%程度と非常に小さな削減だが、正しい方向に進んでいると言える。彼らの最終目標は、1,000個の物理量子ビットを使って、1個の論理量子ビットを作成し、誤り率を10-6以下にできる誤り訂正アーキテクチャを開発することだ。そのためには、この非常に複雑なコードに利用できる量子ビットの数を増やしながら、量子ビットの物理エラーレートを向上させ続ける必要がある。これは、彼らが研究努力の中で特定した、次の重要なマイルストーンである。この成果を記した技術論文は、こちらのarXiv で読むことができる。


最後に、前述の技術論文をよく読むと、72個のトランスモン量子ビットを持つ拡張Sycamoreデバイスへの言及があることに気づく。つまり、正式な発表はないが、53個の動作量子ビットを持つオリジナルのSycamoreデバイスの兄貴分を作ったようである。 Googleは、この拡張版Sycamoreを前述のDistance-5の実験に使用している。

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