量子業界において商品化が実現するというのはとても感慨深いです。 関係者の方々はとてもすごいと思います。

量子コンピュータの商用化は、技術の成熟度や市場の受容性、PoC（概念実証）止まりの問題など、多くの課題に直面しています。さらに、基礎研究を重視する研究者からの反発もあり、技術の応用に対するハードルが高いのが現状です。しかし、こうした困難を克服し、量子技術を活用した商用製品を開発することで、研究開発費の回収だけでなく、新たな市場を創出することが可能です。

最近、量子計算を活用した化粧品が発売されました。この事例では、処方生成の最適化に量子アルゴリズムを活用し、より効果的な組成を見出すことに成功しています。しかし、ここで重要なのは、量子計算は商品開発プロセスのごく一部であり、企業としての長期的な戦略や研究開発体制が不可欠であることです。本プロジェクトは2019年から6年にわたり進められており、適度に国内外の学会発表やプレスリリースを段階的に行いながら、その技術進捗が外部にも共有されてきました。この継続的な情報発信により、技術の信頼性が高まり、商用化への道が開かれたと考えられます。

また、実機を活用した多方面にわたる検証が積み上げられたことで、最終的な成果へとつながったことも注目すべきポイントです。本記事では、この事例をもとに、量子コンピュータの事業化戦略、企業としての取り組み方について解説します。本件における具体的な先方の技術内容には言及しませんが、全体のフローとして、量子技術をどのように事業として成立させるのか、今回のニュースから得られた商用化への道筋考察します。

[有料記事] ついにユーザー企業がPoCの壁を超えて量子コンピュータ関連での商品化が実現。そこから学ぶこと。

Yuichiro Minato