初心者向けSubspace-Search Variational Quantum Eigensolver(SSVQE)の解説


今回は、NISQ量子計算機における励起状態計算手法としてVariational Quantum Deflation(VQD)と並ぶ主流であるSubspace-Search Variational Quantum Eigensolver(SSVQE)法[1]の解説をします。この方法は非常にシンプルなのですが、実に奥が深く、将来性のあるアルゴリズムです。実際に、この考え方はMultiscale-Contracted VQE(MCVQE)[2]、Variational Quantum State Eigensolver(VQSE)[3]など多くの量子計算機における変分励起状態計算手法の元となっています。

まず、前提知識として、量子力学系における固有状態の張る空間は直交です。また、量子ビットが張る空間もまた直交です。故に両者における任意の状態はそれらの一次結合で表されます。ゆえに、両者の間の基底変換が可能です。

それを実現するユニタリー変換を見つけ、対応する厳密解の組を見つけることがSSVQEの目的です。


Φini.=c01000+c10110+c21100+c30010 \mid \Phi_{ini.} \rangle = c_0\mid 1000 \rangle + c_1\mid 0110 \rangle + c_2\mid 1100 \rangle + c_3\mid 0010 \rangle

UΦini.=c0Φ0+c1Φ1+c2Φ2+c3Φ3 U\mid \Phi_{ini.} \rangle = c_0\mid \Phi_0 \rangle + c_1\mid \Phi_1 \rangle + c_2\mid \Phi_2 \rangle + c_3\mid \Phi_3 \rangle -(1)


eq.(1)でハミルトニアンを挟み、非対角項を直交であると仮定して0とすると、残るのは、


F=j=03cjΦjHΦj F=\sum_{j=0}^{3}c_j\langle \Phi_j \mid H \mid \Phi_j \rangle -(2)


です。このそれぞれの項はVQEの回路で計算が可能です。そのため、初期状態だけを変えた複数の量子回路でエネルギーを計算し、その和であるeq.(2)を最適化します。

ここで、係数には、


cj>ck (k>j)c_j>c_k~(k>j) -(3)


の関係があります。この係数ゆえに計算されたエネルギー準位は下から順に小さくなります。

次回は実際に計算した結果について説明します。


[1]Nakanishi, K. M., Phys. Rev. Research 1, 033062 (2019)

[2]Parrish, R. M. and et. al., arXiv quant-ph:1901.01234v2(2019)

[3]Cerezo, M., and et. al., arXiv quant-ph:2004.01372v1(2020)

Hikaru Wakaura
個人研究者の若浦 光です。量子アルゴリズムの実装結果や論文の紹介などを載せていきます。 mail: hikaruwakaura@gmail.com
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