論文紹介:ノイズ耐性のあるブラインド量子計算。


今回はブラインド量子計算をノイズに耐性を持たせて行う研究を紹介します。この論文における要点は次の通りです。


・光ファイバーにおける伝送ノイズに強いブラインド量子計算を実現するものです。

・ビームスプリッターを組み合わせて’ノイズプロセッシング’を行うことでノイズを抑えます。

・ノイズ耐性がそれで向上しました。


この研究は量子通信、特に計算内容を秘匿しつつその結果を通信するブラインド量子計算のものです。ノイズを不完全ビームスプリッターで作り、その周りにノイズプロセッシング回路を作り、そこにTime-bin状態に搬送する量子情報を載せたものを初期状態として投入します。そのプロセスは次の通りです。


1、アリスが状態+θj=1/2(0+eiθj1)j=1n{\mid + \theta_j \rangle=1/\sqrt{2}(\mid 0 \rangle + e^{i\theta_j}\mid 1 \rangle)}_{j=1}^n を用意します。

2,アリスが状態をエンコードします。

3,アリスはボブに量子状態を送りますが、途中でノイズにさらされます。

4,ボブはノイズによってデータが損失した量子状態を受け取ります。

5,不完全ビームスプリッタを含むノイズプロセッシング回路を用いて受け取った量子状態をデコードします。

6,ボブはグラフ状態を作り、それの内j番目の量子ビットを観測します。

7,ボブは観測結果をアリスに報告し、その結果に基づいてアリスは計算を完了します。


ノイズをノイズを意図的に発生させることで相殺し、ブラインド量子計算を実現することで、ノイズ発生を抑えるのは逆転の発想と言えるでしょうが、ノイズもユニタリー変換によって再現できることを考えればある意味当然です。現在、世界中で家庭用量子計算機を実現する勢いで量子計算機のダウンサイジングが行われています。しかし、現行の技術の延長線上では量子化学計算をそれらで行えるのはまだまだ先です。なので、この結果含めたブラインド量子計算はあと10年程度は廃れずに使われるかもしれません。


[1609.08902] Blind quantum computation with noise environment (arxiv.org)

Hikaru Wakaura
個人研究者の若浦 光です。量子アルゴリズムの実装結果や論文の紹介などを載せていきます。 mail: hikaruwakaura@gmail.com
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