Subspace Search Variational Quantum Eigensolver法における遷移双極子


今回、「初心者向けSubspace-Search Variational Quantum Eigensolver(SSVQE)の解説 by Hikaru Wakaura | blueqat」の続きとして、Subspace-Search Variational Quantum Eigensolver(SSVQE)法を用いた遷移双極子モーメントの計算を行います。SSVQE法においては、任意の基底セットを共通のオペレーターで基底状態と励起状態のセットに基底変換するオペレーターを探します。そのため、求めた状態間の重ね合わせが簡単に作れます。非対角項は、対角の状態のみを利用して、



ΦjHΦk=a+ib \langle \Phi_j \mid H \mid \Phi_k \rangle = a + ib

a=+H+12(ΦjHΦj+ΦkHΦk) a= \langle + \mid H \mid + \rangle - \frac{1}{2}(\langle \Phi_j \mid H \mid \Phi_j \rangle + \langle \Phi_k \mid H \mid \Phi_k \rangle)

b=y+Hy+12(ΦjHΦj+ΦkHΦk)b= \langle y+ \mid H \mid y+ \rangle - \frac{1}{2}(\langle \Phi_j \mid H \mid \Phi_j \rangle + \langle \Phi_k \mid H \mid \Phi_k \rangle)


と表されます。ここで、+\mid + \rangley+\mid y+ \rangle はそれぞれ状態jと状態kの均等重ね合わせ、π/2\pi/2 を含んだ均等重ね合わせです。これらは初期状態の重ね合わせで実現します。今回は、前回同様クラスターとハミルトニアンの深さは2として、最適化手法はBFGSとしました。エネルギーの単位はハートリー、遷移双極子モーメントの単位はデバイです。図1に基底状態、三重項状態、一重項状態、二電子励起状態の各状態におけるエネルギー準位とSTO-3G基底における厳密解におけると計算された準位との差の常用対数(常用対数エラー)を示します。化学精度を超える準位はないものの、全体的に-1.5程度の対数エラーにとどまっています。表2にそれらの間の遷移双極子モーメントを示します。水素分子における遷移双極子モーメントは形状から0になるはずですが、無視できないほど大きくなりました。Variational Quantum Eigensolver(VQE)においても対数エラーが-9を切るほど高精度の値同士でなければ遷移双極子モーメントを厳密解に近くすることができないことが示されていましたが、こちらの方が精度が悪く厳密解に届かない結果となりました。


表1 エネルギー準位と対数エラー。


表2 各準位間の遷移双極子モーメント。

Hikaru Wakaura
個人研究者の若浦 光です。量子アルゴリズムの実装結果や論文の紹介などを載せていきます。 mail: hikaruwakaura@gmail.com
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