ベイジアン量子位相推定。


ベイズ推定量子位相推定。


今回は、ベイズ位相推定を利用して複数状態における位相と固有値、固有状態を同時に計算する、ベイジアン量子位相推定の方法を解説します。このアルゴリズムは、通常の量子位相推定とだいぶ方法が違います。このアルゴリズムは図1の回路を利用します。この回路はdこの状態に相当する標的ビット群と、d+1次元の制御演算空間からなります。量子計算機は2n次元の空間を扱うのが構造上無難なため、d+1=2nとした方がいいです。ここで、Hd+1は通常のアダマールゲートではなく、mHd+1n=e2πinm/(d+1)/d+1\langle m \mid H^{d+1} \mid n \rangle=e^{-2\pi i nm/(d+1)}/\sqrt{d+1} を満たすゲート、Sφd+1は対角項にnSϕd+1n=eiϕn\langle n \mid S_\phi^{d+1}\mid n \rangle=e^{-i\phi_n} を掛けるためのゲートです。φnはランダムに決定される位相です。また、UCは制御ビット群がd\mid d \rangle の場合のみ標的ビット群における各状態にUを掛けるゲートです。この回路を作用させて、最終的にθnを状態nの固有位相として、状態oにおける位相φ、Mに対する存在確率は、

P(oθ,ϕ,M)=1(d+1)2(d+1+2ncos[Mθn+βn]+2n<mcos[M(θnθm)+γnm])P(o\mid \theta,\phi,M)=\frac{1}{(d+1)^2}(d+1+2\sum_n cos[M\theta_n+\beta_n]+2\sum_{n<m}cos[M(\theta_n-\theta_m)+\gamma_{nm}]) -(1)

βn=ϕnϕ0+2πno(d+1),γnm=ϕnϕm+2π(nm)o(d+1)\beta_n=\phi_n-\phi_0+\frac{2\pi no}{(d+1)}, \gamma_{nm}=\phi_n-\phi_m+\frac{2\pi(n-m)o}{(d+1)}

とします。そこからベイズ確率分布


P(ζo,ϕ,M)=P(oθ,ϕ,M)P(ζ)ddζP(oζ,ϕ,M)P(ζ) P(\zeta\mid o, \phi, M)=\frac{P(o\mid \theta,\phi,M)P(\zeta)}{\int d^d\zeta P(o\mid \zeta, \phi, M)P(\zeta)} -(2)


を計算します。それらを含む全体の流れは図2に示しました。


このアルゴリズムを含めて、量子位相推定の研究は近年急速に発展しました。そうしてその派生形、発展系が複数でき、エラー確率の議論もなされ始めました。この分野はまだこれからです。

図1 ベイジアン量子位相推定の回路。

図2 ベイジアン量子位相推定のフローチャート。


[2010.09075] Bayesian Quantum Multiphase Estimation Algorithm (arxiv.org)

Hikaru Wakaura
個人研究者の若浦 光です。量子アルゴリズムの実装結果や論文の紹介などを載せていきます。 mail: hikaruwakaura@gmail.com
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