論文紹介:統計的量子位相推定。


今回は、今年発表されたらたな量子位相推定(Quantum Phase Estimation)を方法を説明します。これは統計的量子位相推定と呼ばれる手法です。これは内積を含む評価関数を反復計算によって1にすることを目指す方法です。これは量子位相推定において本来は捨てられる係数を有効利用する方法と言えます。その評価関数は目的とする状態(固有状態)のνk\mid \nu_k \rangle として、


C(Φ,θR)=k=0dt1νkΦ2n=0dc1e2πni(θkθR)C(\mid \Phi \rangle, \theta_R)=\sum_{k=0}^{d_t-1}\mid \langle \nu_k \mid \Phi \rangle \mid^2\mid \sum_{n=0}^{d_c-1}e^{2\pi n i(\theta_k-\theta_R)}\mid -(1)


となります。ここで、dt,dcd_t,d_c はそれぞれ標的ビット、制御ビット数です。このアルゴリズムにおける制御ビット数は1ですが、dcd_c は要求精度によって変わる値です。また、θk\theta_k は固有状態νk\mid \nu_k \rangle の固有位相です。このアルゴリズムの目的は、θR\theta_R を更新し、入力された初期状態セットΦ{Bk}\mid \Phi \rangle \in\{\mid B_k \rangle\} を厳密解に収束させることです。



このアルゴリズムの処理手順は次のようになります。


1, |Φ〉を含む2dt12d_t-1 次元の基底における初期セットを直交するように決めます。


2, 式(1)を図1の回路を回した後で評価し、一番小さくなる式(1)の値におけるθRを選びます。


3,次の式に従って2dt12d_t-1 個の|Φ〉を更新します。


Φ=Φ+za(1C(Φ,θR))Bm mod dt\mid \Phi ‘ \rangle = \mid \Phi \rangle + za(1-C(\mid \Phi \rangle, \theta_R))\mid B_{m~mod~d_t}\rangle-(2)


z=i if mdt,z=1 otherwise.z=i ~if ~m\geq d_t, z=1 ~otherwise.


4, 3, で|Φ〉とθR\theta_R が更新されなかったらaをa/2にして3,を反復します。


5, 収束したところで、あるいは反復回数分反復したら結果を取り出します。

図1 統計的量子位相推定の量子回路とその処理概略。


論文の方ではこの後水分子で計算した結果が掲載されていましたが、こちらも高精度でのシミュレーションに成功していました。機会があれば、私も実装しようと思います。


https://arxiv.org/abs/2104.10285


Hikaru Wakaura
個人研究者の若浦 光です。量子アルゴリズムの実装結果や論文の紹介などを載せていきます。 mail: hikaruwakaura@gmail.com
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