マヨラナ粒子とトポロジカル量子計算。


今回は、マヨラナ粒子とトポロジカル計算について解説します。マヨラナ粒子はマイクロソフトが量子計算機における量子ビットとして研究しているものでしたが、今年その根拠となる論文が誤りであることが発覚しました。それから論文撤回が相次いで、悪名高い量子ビットとなってしまいましたが、マヨラナ粒子を量子ビットとして利用する可能性が消えたわけではありません。それでもマヨラナ粒子はトポロジカル量子ビットの有力候補です。この記事の要点は次の通りです。


・マヨラナ粒子はフェルミ面におけるゼロ点クロスの組が出現する場合に現れます。

・マヨラナ粒子は動かすことで量子計算を行います。

・トポロジカル量子計算はまだ量子系が直接見つかっていないため、様々な量子計算手法が提案されています。


マヨラナ粒子は、質量と電荷をもたない仮想粒子ですが、量子ビットとして扱うことが可能で、それに特有の輸送現象も確認されています。しかし、そのうち2018年に確認されたマヨラナ粒子特有の輸送現象が既存結果と矛盾することが確認され撤回されました。この粒子は可換であり、必ずペアになって現れます。しかしながらそれぞれの粒子ペアにおける位置と距離は動かせるため、それで計算が可能です。この粒子が出現する系はトポロジカル超伝導体とトポロジカル絶縁体を用いて作られたジョセフソン素子のペアです。そのことなる位置にそれぞれ現れます。そのほかにも2次元系における欠陥に渦糸として生成する方法もあります。マヨラナ粒子対をそこについ生成し、片方をもう片方に向かって動かし、両方を同時に観測することで計算を完了します。以上は参考文献[1]に記された一例です。実際は様々な方法が提案されており、粒子対の生成法によっても異なります。


この粒子はトポロジカルなパラメーターによって定義されていますので、ノイズに強いとされています。実際に、理論的予測では位相ゲート以外のクリフォードゲートにおけるエラー率は10-12程度と試算されています[2]。これが完成した暁には量子計算機の性能は一気に向上し、一気に第3世代まで行けるかもしれません。マイクロソフトには可能性を捨てないで頑張ってほしいものです。


[1]https://slidetodoc.com/majorana-fermions-and-topological-insulators-charles-l-kane/

[2][1501.02813] Majorana Zero Modes and Topological Quantum Computation (arxiv.org)

Hikaru Wakaura
個人研究者の若浦 光です。量子アルゴリズムの実装結果や論文の紹介などを載せていきます。 mail: hikaruwakaura@gmail.com
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