論文紹介:固有状態熱化仮説。


今回は量子情報熱力学の重要概念である固有状態熱化仮説(ETH)の話をします。これは、量子系における物理量の固有状態におけるトレースは、小正準集団に無限時間後に一致するというものです。これは経験則でありながら非可積分系全般といくつかの可積分系において成り立つことが示された法則です。これは量子エルゴ―ド性、揺らぎの定理にも整合します。非可積分系は量子クエンチが起こることで量子可積分系や局在系になる系が存在し、それを用いて数値実験が行われました。最終ハミルトニアンが長さ21と24になるハードコアボソンとフェルミオンの鎖における1粒子マタギホッピング項、交換相互作用と超交換相互作用がが存在する系における波数モーメントには、明確にサイズが増えることによる揺らぎの減少が見られました。また、超交換相互作用とマタギホッピング項の係数t'=V'と小正準集団における離散周波数kに対する波数の期待値nkmc\langle n_k \rangle_{mc} の関係はサイズごとにボソンとフェルミオンで同じ極小値が現れ、温度依存性も確認されました。t'=V'は可積分系である粒子差の可積分性を壊す項なので、これらが0に近づくほど小正準集団における平均期待値が量子力学的期待値から逸れるのは、理論と一致しています。




古典熱統計力学から輸入された経験則ではありますが、これは熱力学と量子力学を結ぶ重要な役割を果たしています。ここから量子情報熱力学へと発展していきます。


https://arxiv.org/abs/1108.0928

Hikaru Wakaura
個人研究者の若浦 光です。量子アルゴリズムの実装結果や論文の紹介などを載せていきます。 mail: hikaruwakaura@gmail.com
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