2021/10/08 15:07
日本勢の量子コンピュータへの取組の現状 (3)NTT、汎用光量子コンピュータチップ開発に成果
アメリカが一歩リードしつつも、世界的に量子コンピュータの開発競争が加速しています。
我が国、日本勢の現状はどうでしょうか。
日本を代表する大手ITメーカが現在取り組んでいる量子コンピュータ分野の現状を確認してみたいと思います。
(調査2021年10月時点の現状となります)
今回は、NTTが取り組んでいる「汎用光量子コンピュータ」についての調査です。
2020年3月30日、NTT(日本電信電話株式会社)は、「光量子コンピュータチップ実現にむけた高性能量子光源の開発に成功した」 と発表しました。
以下がNTT発表のニュースリリースです。
光量子コンピュータチップ実現にむけた高性能量子光源の開発に成功
~室温動作可能な大規模・高速・汎用光量子計算の実現にむけて大きく前進~
https://www.ntt.co.jp/news2020/2003/200330b.html
NTTは東京大学と共同で汎用光量子コンピュータの開発に取り組んでいます。
光方式の量子コンピュータは他社の量子コンピュータとは全く実現方法が異なります。
超電導方式のような大型の冷却装置も必要なく、またイオントラップ式に見られる筒状の真空装置も必要ありません。
NTTが開発している光方式の量子コンピュータでは、スクィーズド光源と呼ばれる特殊な光源から得られる テラヘルツオーダーのい帯域と高い圧縮率を持った連続的なスクィーズド光を利用することで、 量子ビットや量子もつれを表現し、量子コンピュータを実現させる研究・開発を行っています。
その他にも以下のような特徴があります。
・小型が可能な光学チップ上で量子コンピュータを実現できる可能性
・クロック周波数を上げることで高速化が可能
・量子もつれ状態を大規模化しやすい
以下に光学チップのイメージ写真を掲載します。
(NTTニュースリリースサイトより引用)
光を用いた汎用光量子コンピュータは世界的にも開発されておらず、光技術としては 日本が世界をリードできる可能性も充分あります。
常温・小型で大規模な量子ビットの量子コンピュータを実現できることは画期的で、今後の進捗が注目されます。
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