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量子コンピュータの基本 - 異なる固有値に対する固有ベクトルは直交することの確認

Tetsuro Tabata

2021/06/07 02:07

#量子計算

量子コンピュータの基本 - 異なる固有値に対する固有ベクトルは直交することの確認

§ この記事の目的

量子コンピュータ理論の基本、または線形代数の基本である公理「異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する」ことについて、具体的に確認します。

なお、本記事の前に以下の記事を見て頂くとスムーズに読み進めることができます。

■量子コンピュータの基本 - エルミート行列の固有値が実数であることの確認
https://qiita.com/ttabata/items/26bd49f0ab526c0f6cd0

§ 命題「異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する」の確認

では、さっそく数式を用いて確認します。

行列AAをエルミート行列、異なる2つの固有値(スカラー値)をλ1,λ2\lambda_1,\lambda_2、異なる2つの固有値に対する列ベクトル(固有ベクトル)をそれぞれX1,X2X_1,X_2とすると、固有値・固有ベクトルの関係から、以下のように表すことができます。

AX1=λ1X1(1)AX2=λ2X2(2)AX_1=\lambda_1X_1\quad(式1)\\ AX_2=\lambda_2X_2\quad(式2)

ここでは説明を易しくするために固有値を2つの場合に限定します。 以下が自明の条件です。

λ1λ2(3)\lambda_1\ne\lambda_2\quad(式3)

(式1)に左からX2X_2のエルミート行列であるX2X_2^\daggerをかけると、

X2AX1=X2λ1X1=λ1X2X1(4)\begin{align} X_2^\dagger AX_1&=X_2^\dagger \lambda_1X_1\\ &=\lambda_1X_2^\dagger X_1\quad(式4) \end{align}

同様に、(式2)に左からX1X_1のエルミート行列であるX1X_1^\daggerをかけると、

X1AX2=X1λ2X2=λ2X1X2(5)\begin{align} X_1^\dagger AX_2&=X_1^\dagger \lambda_2X_2\\ &=\lambda_2X_1^\dagger X_2\quad(式5) \end{align}

(式5)について両辺のエルミート共役を取ると、

(X1AX2)=(λ2X1X2)X2A(X1)=λ2X2(X1)X2AX1=λ2X2X1(X_1^\dagger AX_2)^\dagger = (\lambda_2X_1^\dagger X_2)^\dagger\\ X_2^\dagger A^\dagger (X_1^\dagger)^\dagger = \lambda_2^*X_2^\dagger (X_1^\dagger)^\dagger\\ X_2^\dagger A^\dagger X_1 = \lambda_2^*X_2^\dagger X_1

行列AAはエルミート行列であるから、A=AA^\dagger = Aです。また、エルミート行列に対する固有値は実数なので、λ2=λ2\lambda_2^*=\lambda_2です。これらを代入すると、

X2AX1=λ2X2X1(6)X_2^\dagger AX_1 = \lambda_2X_2^\dagger X_1\quad(式6)

改めて(式4)と(式6)を並べてみると以下となります。

X2AX1=λ1X2X1(4)X2AX1=λ2X2X1(6)X_2^\dagger AX_1=\lambda_1X_2^\dagger X_1\quad(式4)\\ X_2^\dagger AX_1 = \lambda_2X_2^\dagger X_1\quad(式6)

上記の2式を引き算すると、

0=(λ1λ2)X2X10=(\lambda_1-\lambda_2)X_2^\dagger X_1

ここで、(式3)よりλ1λ20\lambda_1-\lambda_2\ne0のため、上式が成立するには、

X2X1=0(7)X_2^\dagger X_1 = 0\quad(式7)

となります。 (式7)は複素空間におけるベクトルX1X_1とベクトルX2X_2の内積を意味します。つまり、

(X1,X2)=0(X_1, X_2)=0

内積が0なので、2つのベクトルX1,X2X_1,X_2は直交することがわかります。

このことから、命題「異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する」は真である(正しい)と言えます。

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