日本勢の量子コンピュータへの取組の現状 (1)日立、CMOSアニーリングマシンとは

日本勢の量子コンピュータへの取組の現状 (1)日立、CMOSアニーリングマシンとは

§ この記事の目的

アメリカが一歩リードしつつも、世界的に量子コンピュータの開発競争が加速しています。 我が国、日本勢の現状はどうでしょうか。
日本を代表する大手ITメーカが現在取り組んでいる量子コンピュータ分野の現状を確認してみたいと思います。
(調査2021年10月時点の現状となります)

今回は、日立製作所が取り組んでいる「CMOSアニーリングマシン」についての調査です。

§ 日立の次世代技術「CMOSアニーリングマシン」

CMOSアニーリングマシンは、量子コンピュータの動作を疑似的に再現する技術で、 日立製作所が2015年に開発した新型コンピュータです。

実際に量子力学の原理を応用する実機の量子コンピュータではなく、 あくまで現行のコンピュータ(古典コンピュータとも言います)上で計算を行います。

CMOSアニーリングマシンは、CMOS回路を用いて、組合せ最適化問題を解く際に重要となる イジング模型(イジングモデル)を仮想的に実現することで、より実機に近い解を高速に算出することを目的としています。

§ CMOSアニーリングマシンの強み

まずは先ほども書いた通り、CMOS回路を用いてイジング模型(イジングモデル)を仮想的に実現することで、 高速に解を算出することができる点です。

イジングモデルに関しては、こちらに数式などを説明していますので、ご覧頂けましたら幸いです。

■量子コンピュータの応用 - QAOAの仕組みとこれを応用した組合せ最適化問題のプログラミング(blueqat編)
https://blueqat.com/tetsurotabata/3a8425d5-68a3-4a8b-9773-2c3940bf5898

さらに、実機のように絶対零度に近い温度に冷却する必要が無く、 通常のコンピュータと同じ環境で使用できることもメリットとなっています。

特筆すべきは、CMOSアニーリングマシンは10万量子ビット(10万スピン)までの大規模ビットの シミュレーションを行うことができる点で、他社を大きく引き離す性能を誇っています。

§ CMOS回路と実機サイズ

この「CMOS」はシーモスと読み、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略です。
技術的には、CMOS半導体を使いCMOS回路と呼ばれる回路を構築し、イジングモデルを再現する仕組みを実現しています。
CMOS回路はデジタルカメラ等のイメージセンサー等でも利用されています。

CMOSアニーリングマシンには、全結合の問題に対応したMomentum Annealing(MA)方式と、 疎結合の問題に特化したSimulated Annealing(SA)方式の二つの方式があります(図1)。

図1 image 画像:日立公式サイトより(https://www.hitachi.co.jp/rd/news/topics/2019/0830.html)

また、現在制作されているCMOSアニーリングマシンのサイズは名刺大ほどのサイズですが、 今後はさらに改良を進め、その部品の一部であるチップが米粒ほどの大きさになるように開発が進められています(図2)。

図2 image 写真:Qiita Zine(https://zine.qiita.com/interview/202011-hitachi/)

Tetsuro Tabata
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