量子コンピュータのデスクトップが5年以内に登場という記事が出ました。
「あと5年でデスクトップ型量子コンピューターが登場する」と量子コンピューター企業CEOが発言
馬鹿馬鹿しいという人もいる一方で、きちんと調べてみると、デスクトップの量子コンピュータはそこまで変な話でもないことがわかってきました。その辺りを見てみましょう。
実は発言者は異なるタイプの量子コンピュータを作っている
実は上記の記事で発言しているのはamazonの元部門責任者で、現在はIonQという量子コンピュータ企業のCEOです。IonQはアメリカのメリーランドを本拠地とするベンチャーですが、AmazonやGoogleベンチャー、Samsungなどが出資しています。彼らが作っている量子コンピュータは2019年までは公開されていなかった、イオントラップと呼ばれる方式になっています。
私たちがよくニュースで見るシャンデリアみたいにぶら下がっているマシンは超電導量子コンピュータと呼ばれる種類ですが、実は量子コンピュータには様々な種類があり、そのうち有望視されているイオントラップ型がこの度登場ということです。
イオントラップを自作している人もいる
イオントラップがイオン化された原子核を電極で捉えてレーザーで制御します。自作した人もいるので、興味深いです。記事を参照します。
量子コンピューターをおうちで自作しよう! ハッカーの楽しい挑戦
https://ascii.jp/elem/000/004/000/4000031/
こちらは今年の初めに出た、自作してしまった人の記事です。イオントラップは超電導で必要となる冷凍機が不要のため、デスクトップサイズで実現できそうということです。真空は必要となりますが、装置自体は充分に机の上に載るサイズです。
冷凍機が必要だから量子コンピュータはデスクトップ化できないというのは昔の知識で、デスクトップに出来そうになってきました。
IonQのシステムは非常に小型
IonQのシステムはすでに1立方メートルの実機と1ラックのサーバーラックに入るサイズにまで小型化が進んでいるということなので、あと五年で半分のサイズにできればデスクトップは充分にできるそうです。ですので、すでに現時点で小型化ができているので、デスクトップができると発言したのでしょう。
上記の記事に登場するD-Wave社は巨大な冷凍機が必要な種類のマシンを作っているので、IonQとは事情が違うため、デスクトップは難しいという見解に達していたようです。
NMR型のデスクトップ量子コンピュータが中国で発売
実はさらに、中国の深センでは、NMRと呼ばれるタイプの量子コンピュータがデスクトップタイプとして発売されました。こちらは2量子ビットですが、充分に量子コンピュータと呼ばれるのではないでしょうか。量子重ね合わせと量子もつれが作れれば教育用としては意義がありそうです。
https://www.quantaneo.com/Bringing-a-two-qubit-desktop-quantum-computer-to-life_a393.html
これからも新型のマシンはどんどん出る
これ以外にも光を使った量子コンピュータや、シリコンタイプ、ナノワイヤータイプなど様々な種類の量子コンピュータの開発が進んでおり、新型マシンがどんどん登場予定です。これまで私たちが見てきたのは量子コンピュータのほんの一部なので、これからも常識にとらわれず、柔軟な見方で業界を見守っていきましょう。