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量子ビットの接続と問題の解き方。IBMヘビーヘキサゴン、GoogleXモン、D-Waveキメラ/ペガサス、Rigetti、Honeywell/IonQなど。

Yuichiro Minato

2020/10/05 00:49

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私たちが量子コンピュータを使って何かしら問題を解きたいときに実機における量子ビットの接続は問題の解き方に大きな影響を与えます。ここでは、その接続の違いや接続についての展望を見てみたいと思います。

量子ビット

まずは、問題を解く際には量子ビットと呼ばれる計算素子を使います。量子ビットは0か1をとります。

量子ビットの接続

量子ビットの計算は2つ以上の量子ビットの相互作用を計算することで様々な問題を解くことができます。ここでは、接続の方法と問題のときやすさについてみてみたいと思います。

上記の図の左側は隣接した量子ビット同士に接続があります。点線は量子ビット同士がつながっていないとします。右側は隣接以外に対角線上の量子ビットとも接続があります。

例えば、都市AからDまであるとして、左側ではAとB、BとC、CとD、DとAはつながっているため、例えば「貿易額」などの相互に関わる計算を直接行うことができます。しかし、都市AとC、BとDはつながっていないため、これらの間の計算はできません。そのため、計算の内容によっては精度が下がったり、所望の計算ができないことになります。

一方、右側では、AからDまで全てがつながっているため、AとC、BとDの間でも計算ができ、より精度の高い、所望の計算もできることになります。

量子ゲートと量子アニーリングの解決方法の違い

上記問題に対して、量子ゲートと量子アニーリングは将来的な展望が異なります。量子ゲートはswapゲートを使い、量子アニーリングはハードウェアで解決をします。

量子ゲートはswapを利用する

量子ゲートでは、swapと呼ばれる量子ビットを入れ替える手法が使えます。演算でswapをすると、例えば、BとCを入れ替えることができます。

そうすると、AとC、BとDの間の計算をしたいときにだけ、swapを使ってふたつの量子ビットの状態を入れ替えるということによって、所望の計算を実行することができます。そして、計算が終わったら、BとCを元に戻すことによって、解決ができます。

これは時間方向に量子回路が増えるので、現在の量子コンピュータでは不利に働くことが多いですが、将来的には解決する方向には進んでいるので、これでよしとされている現状があります。

量子アニーリングはハードウェアで接続を解決

量子アニーリングでは上記のswapがないので、ハードウェアでの接続を増やすしかありません。ですので、実際にはハードウェアの接続を増やしたモデルが登場するなど工夫がされています。

量子ゲートは誤り訂正、量子アニーリングは問題の大規模化

量子ゲート方式では超電導方式では量子ビットを平面に配置するため、平面上での接続に制限が出ます。様々な要因でエラーも起きるので、接続は限られています。それでも量子ビットを増やす必要性があります。現状の量子ビットのエラーを減らすために、たくさんの量子ビットを集めてエラーの少ない「論理量子ビット」を作成する誤り訂正のため、比較的上質な量子ビットをたくさん集める必要があります。

量子アニーリングでは、上記の誤り訂正の機構が原理的にないため、量子ビットの増大は主に解く問題の大規模化に利用されます。なので、アニーリングの場合には、接続を増やして大規模化をするという明確な指標があります。

IBMのヘビーヘキサゴン

IBMは量子ゲートでこれまで様々な量子ビットの配置を提供してきましたが、近年は一定の配置パターンを見つけ、それに収束をしています。一定のパターンを繰り返し利用するのはD-Waveの方針と同じですが、基本的には大規模化を考えるには合理的なパターンを見つけるのが大事のようです。

配列はヘビーヘキサゴンと呼ばれ、レンガ状になっています。7つの量子ビットが一つのユニットになって、それが繰り返されています。大規模化したときにエラーを減らせるように誤り訂正を考慮して作成されています。

すでに27量子ビット、65量子ビットのマシンはこのパターンを踏襲しており、今後127から1000量子ビットごえに際しても全て、この形状を繰り返すことがロードマップで示されています。

GoogleはX型

Googleは量子ゲートで量子ビット自体がX型をしており、素直にXを隣接とどんどん繋いでいくことで二次元格子が実現されます。現在は51量子ビットマシンまでがありますが、Xをベースとした接続を実現しています。IBMとは異なり、今後のロードマップがまだ不明確なのでこのままいくかどうかはわかりませんが、現状では誤り訂正を考慮した上、接続も二次元格子を実現しています。

接続が少ない分、swapなどを活用して複雑な問題を解くということにチャレンジをしていますが、やはり接続が多いと計算結果がかなり悪くなるという論文を2020年の初頭に出しています。

swapを利用して量子ビットを入れ替えるにはやはり計算の精度が必要です。

量子アニーリングのD-Waveはキメラ・ペガサス

D-Waveは量子アニーリングで接続をひたすら増やすという方法をとっています。4+4の合計8量子ビットを一つの単位(ユニットセル)として、それを拡張しています。

2019年までのD-Wave2000Qモデルでは、キメラグラフと呼ばれる接続方法を採用していました。D-Waveは細長いループ状の量子ビットを採用しており、1量子ビットに対して、交差する4本と、隣接する2本の合計6量子ビットが最大接続でした。

2020年の9月に登場したマシンではペガサスと呼ばれる新しい接続が採用されました。量子ビットが伸びて、複雑な接続になりました。交差する12本と、隣接する3本の最大合計15本と接続されます。

量子アニーリングの場合には、遠方の離れた量子ビットはswapできないので、複数の量子ビットをコピーを使って疑似的に大きな量子ビットを作って接続をします。

下記の図では、オレンジ色にコピーを使うことで、左の太線のオレンジの量子ビットと右上の太線の赤の量子ビットを接続して計算することができます。

Rigettiも独自接続

ベンチャーのRigettiは現在amazon経由でマシンの提供をしています。量子ゲートですが、接続はちょっと変わった八角形になっています。

Rigettiですが、現在IBMやGoogleの方の評判に比べるとやはりベンチャー企業なのでなかなか厳しそうです。日本ではあまり知名度がないのですが、今後どこまで上がるかどうかわかりませんので、未知数になります。

Honeywell/IonQは全結合

米国では新しい量子コンピュータの方式、イオントラップと呼ばれるものが出てきています。ハネウェルは6量子ビット、IonQは11量子ビットのマシンを提供しています。イオントラップはこれまでの平面に量子ビットを並べる方法ではなく、空中に電荷でイオン化された量子ビットを並べます。振動モードと呼ばれる仕組みで、任意の2量子ビット同士を操作できるので、現在両方の企業とも全結合と呼ばれる1つの量子ビットが他の全てと接続している状況を作り出すことができています。

IonQは今後32量子ビット全結合のマシンも発表しているので、結合数に関して現在イオントラップでは有利になっています。また、先日イオントラップを使って論理量子ビットを作成する誤り訂正の仕組みに成功したというものも出ました。エラーが少なく、結合が多く、量子ビット数が多いマシンに期待がかかります。

まとめ

量子コンピュータでは、量子ゲートは誤り訂正を実現し、エラーの少ないマシンを目指すために大規模化が始まりました。量子アニーリングではハードウェアで接続を解決し、より大きく使いやすいマシンが実現しています。イオントラップでは理想的な全結合と論理量子ビットの両方が実現され始めています。今後もハードウェアの発展から目が離せません。

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