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IBM1000量子ビットの戦略を読み解く

Yuichiro Minato

2020/09/27 03:09

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IBM社は先日2023年に1000量子ビット超えのマシンを作る計画を発表しました。その戦略に関しては大きな方向性が見えるので、その辺りを見てみたいと思います。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/17/news095.html

戦略を読み解く際に重要になるのが、

1、量子ビットの配置

2、量子ビット数の大幅な増加

です。これらの戦略は2008年ごろにカナダのD-Wave社が採用していたキメラグラフトポロジーの量子ビット配置の大規模化に近いものがありますが、量子ゲートマシンの場合には、大規模化には大規模問題を解くと言う以上の理由があります。

これまでのチップごとのオーダーメイド配置からHeavy Hexagon配置へ

これまでのIBMのチップは2015-2019年はトライアルの年であり、チップの配置は比較的色々試されていました。実は近年作成されてきたチップには量子ビットの配置に一定のルールが見られ、それがheavy hexagon配置という六角形を拡張した形になっています。

引用:https://www.ibm.com/blogs/research/2020/09/hardware-aware-quantum/

実はIBMの元技術者が立ち上げたRigetti社も八角形に近い量子ビット配置で大規模化を計画しており、これらの配置は一定の成果と大規模化を達成できるという見積もりのもとで本格的に採用が進んでいます。

Heavy Hexagonで得られるもの。犠牲になるもの

IBMのHeavy Hexagon配置は比較的量子ビット同士の接続が少ない配置になっています。通常アプリケーションは量子ビット同士の接続が大事になり、隣接した量子ビット同士でしか計算ができません。

量子アニーリングマシンでは接続を大事にしており、キメラグラフでは6、新しいペガサスグラフでは15の接続を実現していますが、ゲートマシンでは2から3程度のまま大規模化を進めています。

これはアニーリングマシンとゲートマシンの量子ビットの作り方の違いもありますが、量子ゲート方式では量子ビット同士を入れ替える操作が可能なため、多少接続が少なくても同じ計算ができるという事情もあります。

IBMの下記のブログでは、Heavy Hexagon配置が紹介されていますが、これらの配置を5量子ビットの配置から拡張して、将来的に誤り耐性の研究ができる配置として拡張していると紹介されています。

https://www.ibm.com/blogs/research/2020/09/hardware-aware-quantum/

2021年発表の127量子ビットEagleチップから誤り耐性の実証

IBMは早速2021年にHeavy Hexagon配置のチップを作って、誤り耐性を実証するという研究を進めるということを言っています。これは、NISQアルゴリズムを探求するというのとは異なる方向性で、今後ハードウェアやクラウドサービス提供社は、

1、誤り耐性を最優先

2、クラウドを通じて一般ユーザーにNISQアルゴリズムの探求

という方向性を強めています。IBM社の今回のロードマップの発表はかなりアグレッシブなものであり、ユーザーとともにNISQマシンのハイブリッドアルゴリズムを探求しながらも、誤り耐性アルゴリズムを自社でどんどん開発を進めるという両軸を回していくのに物凄い体力を使うと思います。

IBMQの方向性は物凄い

IBMの攻めたロードマップは今後の発展と、現在の進捗に対して非常に愚直で好感のもてるものと思いましたし、とても優秀な方々が取り掛かっているので、今まで以上に期待感が持てそうです。

正直、この数年IBMが行ってきた活動をその延長としてかなり拡張しており、相当の覚悟と取り組みが見て取れます。

新規のロードマップは2023年まで一旦続きますので、今後の進捗が素直に楽しみです。以上です。

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