common.title

Docs
Quantum Circuit
TYTAN CLOUD

Quantum Apps

Quantum Business Magazine


Overview
Contact
Event
Project
Research

Terms of service (Web service)

Terms of service (Quantum and ML Cloud service)

Privacy policy


Sign in
Sign up
common.title

【過去記事・進路相談】大学で量子コンピュータを学ぶには?もしくは将来量子コンピュータを仕事にするには?

Yuichiro Minato

2020/10/05 04:18

なぜか最近勉強会で進路相談や人生相談増えてきました。入学試験シーズンですし、受験生の方々に安心して悩み事のない状態で受験に集中してもらうためにきっちりと問いにお答えしておきましょう。

大学に入る

まずは量子コンピュータをやるにはきっちり大学に入っておきましょう。もちろん高卒でも大丈夫ですが、結構苦労すると思いますので、何歳になっても一応大卒の資格を取っておくのはいいと思います。

そのためには大学の試験をきちんと受けることが大事です。かくいう僕も大学に進学するかどうか迷った時期がありましたが、結局当時受験物理と出会ってから結構頑張って大学にはいりました。モチベーションはとても大事です。メンタル面を整えて目標を設定して、体調を整えながら大学受験しましょう。

あと月並みですが受験はプレッシャーも大きいし、お金もかかるしなので、出来るだけ早めに準備しておきましょう。学習内容も早くやりすぎると忘れてしまう危険性はありますが、後からギリギリに勉強するよりはいいです。

大学受験では苦手科目の克服にほとんどの時間を使います。得意な科目は勝手に点が取れるからです。時間を有効に使って計画的に受験をしてもだいたい時間が足りなくなりますので、早め早めに終わらせておくことが大事です。自分でなかなかスケジュール管理ができない時には、塾の先生や学校の先生に相談するか、友達とライバルみたいに競い合って自分を高めるのが大事です。ライバルや友達は大事かと思います。自分の中に頑張る理由を見つけられない人は自分の外に見つけましょう。

何を勉強すればいいか?

量子コンピュータに役立つのは、「物理」、「数学」、「英語」です。物理は言わずもがなの量子力学を理解する必要があり、数学は計算原理を理解しそれを式に落とし込みます。英語は論文がすべて英語ですので、少なくとも英語に対しての苦手意識は無くしておく必要があります。

物理学は諸問題の背景にある原理をきちんと押さえておき、できれば微分積分を使って運動方程式ma=Fから運動量や運動エネルギーの式を導き出し、電磁気学やその他の章でも微分積分を背景に物理学を理解しておくと難しい問題でも対応できます。簡単な問題には微積を使うよりも定理を覚えてしまったりと暗記対応と式の導出が混じっているのが大変なところですが。。。

量子コンピュータの実務でも高校の時の物理学の知識が大変役に立っています。すべて高校時代の賜物といっても過言ではないので、大学に入る前の物理の勉強時間は大変大事です。

量子コンピュータ自体を作るのではなく、アプリケーションを作りたい、計算機を触ってプログラミングを極めたいという方は必ずしも物理学は必須ではありません。かくいう自分は物理は得意ですが、数学はとても苦手です。しかし量子コンピュータでは数学はとても大事です。数学が得意な人は量子コンピュータを理解するには微積、行列、複素数まできちんとやっておいた方が良いでしょう。

あとは英語です。英語はなかなか大変ですが、自分は音読を通じてとにかく量をやりました。量をこなすことで体が慣れるので少なくとも自信はつくと思います。効率的な勉強法はとても大事ですが、なかなか自分に合ったものを効率的に見つけるのは難しいです。とにかく大量に量をたくさんやればそのなかから質を見つけることができるというのが持論です。困ったら考える前にたくさんやりましょう。

いつ決めればいいか?

正直自分の大学時代は量子コンピュータは流行ってなかったので、興味がありませんでした。進学先も東大理一に進学してから内部で進学先を見つけられるので建築学科へ進み、ようやく35歳を過ぎてから量子コンピュータを始めましたので、昔は量子コンピュータをやるなんて少なくとも5年前ですら思いもよりませんでした。世の中には時流というのがありますので、目標を持ちながら、その時の時流を鑑みた上で進路を決めるというのも大事でしょう。

入学してから進路を決められるのも珍しいかもしれないので、大学入学時に決める必要がある場合には、今の量子コンピュータが発展するのに20-30年かかるので、ちょうど分野も育っていい感じになるという予想のもとに物理系もしくは物理工学系に進むというのもいいでしょう。実際に実務をやっていると数学科で量子コンピュータのアプリのすごい人もいるので、物理・数学あたりがいいと思います。両方できたら最強です。

あとで変更したくなった時には、変更するという意思と迅速な対応が必要になります。後悔先に立たずなので30歳までには色々試してみるのがいいと思います。時間は有限ですので、20代はできるだけ仕事と遊びに時間を費やした方がいいと思います。

どれくらい勉強すればいいか?

要領のいい人は少ない勉強量で大学にきちんと入ってきますが、僕はあまり要領がよくなかったので、たくさん勉強しました。勉強量を可視化して、使用した計算用紙A4をためて行ってどれくらい勉強したのかを確認しながら毎日頑張り、だいたい入試までには1年で30-40センチくらいの高さに計算用紙が貯まるまで数学と物理の計算をしていました。あとは、先生に勉強が終わったと思ってからさらにあと1時間やりなさいという言葉を守ってその通りやってました。

基本的には行きたい大学に行った人にたくさん聞いて、その人たちのいうことで納得できることをきちんとやっていればいいと思いました。僕も結構言われたことはそのまま守りました。

量子コンピュータの面白いところは?

結局物理を仕事にしている人は物理をすることで精神的な安穏を手に入れていることが往々にしてあります。精神安定剤として物理学という考え方もあります。基本的には物理学を通じて学ぶことの楽しさや世の成り立ちを知りたいという知的好奇心が大事になります。

もう少し産業として量子コンピュータが成熟してくればそういった楽しさはだんだんと失われてきて、ただの仕事になっていくと思います。そうなる前に十分に発展に貢献して楽しんでおくのもいいのではないでしょうか。

量子コンピュータ教室

実は先日大岡山の東京工業大学にて小中高校生向けの量子コンピュータ(アニーラ)教室が行われました。弊社はそのマシンの提供のために社員で出向いてまいりました(D-Waveマシンはアカウント保持者が動かす必要がある)。

こちらです。

https://www.titech.ac.jp/event/2018/043058.html

当日はサプライズゲストとして東工大の益学長もお忍びで参加されていて大変盛り上がりました!

元々は東京工業大学の学生さんが子供たちのために何かをやりたいというところから出発し、弊社としてもマシンの利用を快諾しました。正直子供たちがどういう反応をするのか全くわからなかったので想像がつかなかったのですが、当日は大変驚き刺激になりましたので、その体験を少しでも多くの方に知ってもらうためブログに書くことにしました。

まず、東工大の学生さんがすごすぎる><

まず今回の教室は東工大の学生さんの話から始まりました。東京工業大学基金のサポートを受けて教室をやるのだけど、せっかくなので量子コンピュータができないかとの相談です。

東京工業大学基金とは

東京工業大学では、創立130周年を契機に戦略的な運営を支える財政基盤を強化すべく東工大基金を創設しました。 東工大基金はこれまで各種奨学金の充実、学生の海外派遣及び留学生の受け入れ支援、若手研究者への大型支援、理科教育の振興支援等に活用しております。創立150周年を迎えようとする2030年を目途に「世界トップ10に入るリサーチユニバーシティ」の実現を目指し、教育研究における改革をスピード感をもって進めているところであり、改革の着実な展開及び成果の結実のために、ぜひ皆様のご支援をお願いいたします。

https://www.titech.ac.jp/giving/

基金を活用した教室としては大成功じゃないでしょうか。当時弊社はカナダの有名ベンチャー企業のD-Wave社と契約を行い、実際のマシンを活用した開発を進めているというニュースがでて比較的界隈では有名になっていました。

https://www.dwavesys.com/press-releases/mdr-corporation-and-d-wave-systems-announce-quantum-computing-agreement

もちろん世界中で量子コンピュータが使える人材はまだほとんどおりませんのでどうなることやらと思いました。今回の企画も誰が教えるのかなと思っていましたが、、、

「東工大の学生さん優秀すぎる><」

この一言です。実は今回の企画は情報理工学院山村研究室の学生さんが中心となっていて、実は量子が専門ではありません(多分)。量子専門以外の学生が量子コンピュータに興味を持って運営という時点でだいぶ広がっているなと思った一方で、、、

「資料がすごすぎる」

私たち日々実務に勤しんでいる身からしても「即戦力」の一言。自分たちの持っている技術や知識をなんの躊躇もなく量子アニーリングや量子コンピュータに応用できる力が最初から付いています。資料の作り方に隙がないどころか、アドリブにも対応し、かつ私たちとは異なる視点からのアプローチに感激しっぱなしです。正直東工大の学生さんたち鳥肌立つくらい優秀すぎます><

日本の未来は明るいです。

実は昨年同じように分野横断で他分野の方の活動で驚いたことがあったので、他分野の方でも十分普通に量子コンピュータを始められるという体制が整っているのだと実感しました。ちなみに昨年一番おどろいたのはこちら、

「量子コンピュータでニューラルネットワークな論文紹介 〜量子ニューロンの実装〜」

https://qiita.com/piyo7/items/2104fe7084c95ed4b97b

数学科ということで、演算の捉え方の視点がとても素晴らしく驚きました。量子フーリエ変換もおすすめです。

https://qiita.com/piyo7/items/d6f95876c7ec0188f991

これがQuantum Native、量子ネイティブ、生まれ持った能力かと思いました。。。

とにかく資料作りから会場運営した方々お疲れ様でした。東工大の未来は明るいです。

そして、子供たちがすごすぎる

まだ驚くのは早いです、とにかく量子コンピュータに対する理解と吸収は子供は抜群です。

特に量子コンピュータは今のコンピュータの仕組みと微妙に違うので、答えが1つに定まらないとか、そういった新しい概念は大人の方はなかなか体感して感じることが難しく、一度頭で考えて咀嚼してから無理やり身につけないといけない(ぼくもそうです)ので大変です。

子供たちはなんの抵抗感もなくサクサク資料を進めていきました。

今回とても新鮮だったのが女性が多かったことです。小学生から高校生まで女子がとても多くてびっくりしました。もしかしたら女性の活躍と量子コンピュータはなんか親和性があるのかもしれません。

量子コンピュータは現時点ではパズルに近いです。量子アニーリングのイジングモデルや、量子コンピュータのゲート回路はほぼパズルと数学です。

かつ大事なのが、量子アニーリングに加えて最近IBM社が発表したSystem Oneです。こちらは汎用型マシンなので、従来型の今私たちが使っているPCと同じ計算もできます。

IBM、量子コンピュータ「IBM Q System One」を商用化したと発表https://t.co/xNaanS1iAD pic.twitter.com/a8aWHElUMx— ITmedia NEWS (@itmedia_news) 2019年1月8日

この新しい概念のパズルと、これまでの汎用計算を兼ね備えた新しい汎用型のマシンの活用は今の子供たちにかかっているのは明白です。これから実用化のフェーズで20-30年を必要とし、ちょうど大きくなった時に全盛期がくると思います。

将来の汎用型の量子コンピュータでは汎用計算と高速計算が混じっているので、それらをうまく使い分けながら量子コンピュータの性能を引き出すということが必要になります。

現在まだプログラミングの流れも始まったばかりですがすでに高度化しています。人材育成もとても大事ですので、今後は才能のある子を発掘して、国内の層も厚くして基盤作りに貢献したいと思うような出来事でした。

量子ネイティブ、Quantum Nativeを育成するには

量子コンピュータに対して苦手意識がなくすんなり受け入れられる人材の育成が大事です。弊社では量子ネイティブが何名かいます。空気を吸うように量子コンピュータを理解し、世界と戦い協業し、ようやく昨年世界の舞台に立つことができました。今後は広い基盤の構築が大事になります。

量子ネイティブといっても、汎用型マシンの場合にはほとんどが従来型のPCのシステムの理解も必要です。量子コンピュータが得意とする位相計算などは高速性に分類されますが、主に汎用回路の中に時々出てくるくらいで、ときたい問題に対して通常の機械学習や計算機科学に関する知識も必要になります。

そういった意味で、通常のプログラミング+量子プログラミングの両方を覚える必要があります。量子ネイティブを意識しすぎず、まずは基本の計算機科学を学んだ上で量子プログラミングを身につけるので十分かと思います。その際に先入観があると覚えにくいので小さい頃に少し量子の考え方を身につけておくのでいいと思います。

大事なのは、数学ですが、多少の量子物理学も覚えておくと苦労しないと思います。あと、意外と大事なのは英語で、仕事であっても朝から晩まで論文を読んで実装をするので、英語能力はあった方が助かります。海外のコミュニティも英語なので。もちろん普通に読む分にはgoogle翻訳などありますので以前よりは楽ですが。

就職活動と量子コンピュータ

最近少し聞くので書いておきます。就職活動に対して量子コンピュータが役にたつかどうかです。

多分役にたつと思います。

1、機械学習も学べる

2、量子コンピュータ人材が不足している

3、量子コンピュータ人材は民間は比較的高給(?)

基本的には分野は機械学習に近く、そして人材が不足しているので就職にも有利かと思います。学生での活動に量子コンピュータのプログラミングを入れておいて、こういうのをプロジェクトで構築しましたというのはなかなかイメージいいのではないでしょうか。費用対効果はとてもいいと思いますので無理のない範囲で学ぶことをお勧めします。

最後に

今回の東工大の取り組みは素晴らしいものと感じました。弊社もこういった活動を応援するだけでなく、自社としても取り入れて、全国の子供たちに量子コンピュータの授業を提供できる取り組みを早速始めてみたいと思います。テキストや運営は手順がすでにあるので、興味がある方はぜひお声がけください。

© 2025, blueqat Inc. All rights reserved