量子コンピュータに関する幻想をすべて砕いてくれた論文です。一般的には量子コンピュータを量子古典のNISQアルゴリズムで動かす場合VQEを使います。組合せ最適化問題や量子化学計算などはVQEやQAOAを使いますが、結局回路が長くなるとエラーの影響もありますし、量子ビットが増えるときちんと勾配がとれないバレンプラトー問題でろくに計算ができなくなります。
量子化学では最大の実機サイズが6量子ビットとなっていてQAOAも似たようなものです。かつ、最近ではQAOAをハネウェル実機やQuEra実機で行ってパフォーマンスがひどく悪いというのが明らかになってきています。
参考
Layer VQE: A Variational Approach for Combinatorial Optimization on Noisy Quantum Computers
https://arxiv.org/abs/2102.05566
今の量子古典ハイブリッド計算は
1,量子化学や量子物理のハミルトニアンから着想を得た量子回路を使って計算する
2,ハードウェア特化型の量子回路を作る
みたいな作り方があるということですが、実際には量子化学や量子物理着想で量子回路を作ると回路が長くなりすぎて計算ができないことがわかってきています。なので現実的に今の量子コンピュータで計算できないということで、組合せ最適化を含めてansatzの作り方はほぼ見込みがなくなってきてしまいました。
ということでハードウェア特化型の量子回路を作るのが効率的で、ADAPT-VQEのような回路が効率的ということで、最終的にはRY回転から少しずつ量子回路を詰んでいき、局所解にはまらないようにちょっとずつ計算する適当なansatzのほうが成績がいいようです。。。
簡単に言うと難しい理論から作る量子回路は現状は使えなくて、簡単な回路じゃないと計算できないということですね!かなりシンプルな回路なので拍子抜けしちゃいますが、なんとなく現実的な気がします。
量子コンピュータの性能が飛躍的に上がらないとどの問題もきつそうですね!以上です!