量子コンピュータ関連のアプリケーション開発を行っている研究者や企業の方の負担を減らすために、積極的にベンチマークを取り、結果を共有しております。今回は、150量子ビットのQAOAと呼ばれる組合せ最適化問題を解くための問題のベンチマークです。MAXCUT問題を解いています。
今回実装したのは、
MAXCUT問題
150量子ビット
QAOA
random-3-regularという構造
量子断熱ステップ p=2
実装の際に利用したソフトウェアは、
quimb
cotengra
jax
となっています。ソフトウェアが最適化されていない可能性もありますので、今後の量子ゲート型量子コンピュータのソフトウェア開発の参考にしてもらえればと思います。
今回計算を実行したのは、
GPU
での実装となります。一般的にGPUを利用すると量子コンピュータのシミュレーションは高速になります。cuStateVecを利用した量子コンピュータのシミュレーションでは、明らかに高速になっているのがわかります。CPUとV100GPUで状態ベクトルシミュレータと呼ばれるものを比較した場合、100倍以上の高速化を実現しています。今回はそれとは異なる次世代型の新しいテンソルネットワークシミュレータのベンチマークを行っています。予備実験としてCPUも実行してみましたがあまり有意な差は見られませんでした(cuQuantumは今回は使用していません)。
今回は150量子ビットのrandom-3-regularグラフにQAOAアルゴリズムp=2を適用しました。パラメータ数はp=2から、2なので、ベイズ最適化を利用して、100回のループを回しました。
今回の実行結果は61分でした。100ループなので、大体1回の計算あたりで36秒ほどとなります。150量子ビットでの最適化時間発展計算QAOAが36秒です。今回は前回の53量子ビットでのQAOA p=4のベンチマークの続きのため、同様の環境で実行しました。よりGPUの高速化を実感できるような問題設定やソフトウェアが最適化された環境を次回は揃えてみたいと思います。
一応期待値は最適化されて落ちていくのが確認できます。
あとは、参考に今回の量子回路をTN表示で確認します。
以上です。