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量子コンピューターベンチャーの資金調達で気をつけること

Yuichiro Minato

2025/08/30 20:46

量子コンピューターベンチャーの資金調達で気をつけること

量子コンピューターベンチャーを立ち上げたいと考える人にとって、資金調達は避けて通れない大きな課題です。
でも、日本のベンチャーキャピタル(VC)や投資家と向き合うときには、いくつか独特の注意点があります。ここでは、その実態と心構えを紹介します。

とりあえず量子でチャチャっと稼いで他のことをしたい人はもう少し柔軟にVCのいうことを聞いた方がいいですが、本気でやりたい人は張り合った方がいいです。

投資家は技術に詳しくない

まず知っておきたいのは、投資家は量子の技術に詳しくないということです。
多少は勉強している人もいますが、未来の技術トレンドを見通せるほどの理解はほとんどありません。革新的な技術を評価してくれることを期待しても、日本のVCは基本的に「実績主義」です。

つまり、夢よりも今の数字を見ています。

自分も技術に興味がなくてお金を稼ぎたいだけの場合には最初から一緒に戦略的に組むのも一手です。

投資家の関心は「出口」だけ

日本の投資家が考えるのは、最終的に会社をどう現金化するかという「出口戦略」です。

  • M&A(買収) → 数十億円規模での低価格評価
  • IPO(株式上場) → 上場できそうなら高価格評価

この2つしかなく、技術の革新性や社会的意義は二の次になりがちです。

投資家は「株価一点突破」

投資家が実際にできるのは株式を持つことだけ。だから交渉はすべて「株価」に集中します。

よくあるセリフはこんなものです。

  • 「今の環境だと持ち株比率が少ないから一から会社を建て直した方がいい」
  • 「技術は良くても売上につながらないので株価は高く見積もれない」

これは本心ではなく、できるだけ有利な条件で株を取りたいだけです。気にしすぎないことが大事です。

保有割合のバランス

投資家は自分の持ち分を増やしたい一方で、持ちすぎも嫌います。管理が面倒になるからです。
多くても1人10%程度にとどめるのが一般的で、それ以上は分散させるのが普通です。

経営者側としては、できるだけ自分の持ち分を最大にして、最低限だけを売るのが基本です。

ただ、自分で責任を持ちたくない場合には保有を少なくして金融機関任せにする人もいます。

割り当てのセオリー

日本では「新規調達で20%を外部に割り当てる」のが通例です。
つまり、調達金額 ÷ 0.2 = 時価総額 というシンプルな計算で評価が決まる場合が多いです。

例:5億円を調達 → 時価総額25億円

優先株・J-KISSに注意

投資家はよく「優先株」や「J-KISS」といった条件付き投資を提案してきます。これは一見すると資金調達の仕組みが整っているように見えますが、実際には投資家のリスクを下げるためのものに過ぎません。

正直なところ、意味があるのはユニコーン級(時価総額1000億円以上)を狙う場合くらいです。それ以下のフェーズでは、複雑な条件をつけても事務手続きが煩雑になり、むしろスピード感を失ってしまいます。現実的にはデメリットの方が大きいのが実情です。

本来は普通株でシンプルに成長するのが王道です。

とはいえ、現実には条件を飲むしかない起業家も多いのも事実です。投資家の立場が強く、交渉の余地が少ない状況では仕方なく受け入れるケースもあります。

ただ、私自身の経験では**「時価総額が低いうちは邪魔にしかならない」**と強く感じています。スタートアップにとって最も大事なのはスピードであり、複雑な条件はそのスピードを削いでしまいます。そのため私は、基本的に優先株やJ-KISSは受け付けないようにしています。

結論:意味がないから受けない。それくらいの姿勢でちょうどいいと思っています。

妥協も必要

ただし、「全部自分で守り切る」というのは現実には難しい場面もあります。
資金が手元にあること自体が成長の重要な指標であり、事業を継続するためにはときに条件を飲む必要もあります。

起業のストーリーをどう描くか、その物語性も調達には大きく関わります。資金調達は単なる数字合わせではなく、「この会社は伸びる」という物語を投資家に信じてもらう作業でもあるのです。

僕は元気なので妥協せず自分で守り切るという目標があるので、気にせずやります。

VCと事業会社の違い

ほとんどのVCは「自分のお金」ではなく、背後にいる別の投資家のお金を預かって投資しています。いわばブローカーであり、その立場上どうしても守りに入りやすいのです。

一方で、事業会社が直接投資するケースは少し違います。

  • 中間に入るブローカーがいない分、評価額を高めに設定してくれることもある
  • シナジー(自社事業との相乗効果)を重視するため、株式のキャピタルゲインだけではなく事業的な価値を見てくれる
  • そのため評価額や投資額も、事業会社の本業で回収できる見込みに基づいて柔軟に設定されやすい

つまり、VCは数字と出口だけを見て、事業会社は事業の未来も見てくれるという違いがあります。

ただ、事業会社も神ではなく、子分扱いして仕事をさせてくるところもあるそうです(うちの株主はVCさん含めてまともなところが多いです)

まとめ

量子コンピューターベンチャーの資金調達では:

  • 投資家は技術を深く評価してくれない
  • 出口戦略(M&AかIPO)だけを基準に判断する
  • 株価交渉は常套句が多いので気にしすぎない
  • 創業者はできるだけ自分の株を守る
  • ただし、成長のためには妥協も必要
  • VCよりも事業会社投資は「事業シナジー」で評価してくれる可能性がある

強い姿勢で株を守りつつ、現実的に妥協すべきところは妥協し、長期的な成長ストーリーを描いていくことが重要です。

自分がどこを目指すかを明確にして戦略を立てましょう。

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