汎用化の流れとその限界
現在、量子コンピュータ分野では「選択肢が絞りきれない」という事情から、複数のハードウェアを抽象化して統一的に扱えるフレームワークの開発が盛んに進められています。コンパイラやミドルウェア、OSといったレイヤーでの統合は、多様な量子ハードウェアを一つの枠組みで管理できるメリットがあります。
しかしその一方で、抽象化の代償として、ハードウェアごとの特性を十分に活かせず、実際の実機での計算効率や安定性に課題を抱えるケースも多いのが現状です。
しかもその全体は全ての量子コンピュータは同じように動くということを前提として考えられています。
私たちが選んだ「逆方向」の戦略
私たちは、この「汎用化・統一化」とは正反対の戦略を選びました。つまり、多様なハードウェアをまとめるのではなく、半導体量子コンピュータ専用に設計されたミドルウェアを開発したのです。
このミドルウェアは半導体を使うからこそ可能になる全く新しいアプローチを利用しています。ハードウェアの動作原理がこれまでの量子コンピュータとは完全に異なる方法で動いており、アプリケーションやフレームワークを全てリセットするものです。
新しい制御と計算の可能性
本ミドルウェアの核となるのは、量子計算や誤り訂正を従来とは異なる方法で管理できる新しいツール群です。これにより、他のハードウェア方式では実現が難しい種類の計算を効率的かつ安定的に実行できるようになります。これは従来の量子ソフトウェアの延長線上ではなく、新しい理論的基盤に立脚したアプローチであり、半導体量子コンピュータだからこそ可能な道を切り開きます。
量子EXPOでの発表
この新しい半導体専用ミドルウェアを、近く開催される量子EXPOにて初公開します。
私たちの発表は、現在の量子コンピュータ業界の主流である「統一フレームワーク路線」とは異なるベクトルを提示し、「半導体だからこそできる計算」という実用的な価値を示すものとなるでしょう。