Nobisuke
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2024/10/25 03:31
完全に興味本位です。こちらの記事が出ていました。
卓上サイズの量子コンピューターを台湾の研究チームが開発
台湾の国立清華大学の研究チームが、光子1個を使った世界最小の量子コンピューターを開発しました。デスクトップPCサイズで室温動作が可能で、素因数分解などの計算が実行できます。光子1個に32次元の情報を圧縮する技術に成功し、従来の量子コンピューターの課題を克服しました。この技術は新薬開発や情報セキュリティなど、さまざまな分野に応用が期待されています。
記事中の論文ソースは登録してないので、
査読なしのArXivの方を見てみます。
通常量子コンピュータでは量子ビットを複数利用して量子重ね合わせやもつれをうまく使って計算をします。今回は一つの光子を使って情報を多く格納することで暗号解読に利用されるshorのアルゴリズムを実行しています。
まずは論文中で利用されるアルゴリズムであるShorのアルゴリズムについて簡単におさらいします。
Shorのアルゴリズムは一番本格的なアルゴリズムで因数分解を目的としています。より詳しく知りたい方は下記から。。。
いちばんやさしい量子コンピュータで暗号を解くshorのアルゴリズム概要
任意の互いに素な整数aとNに対して1 ≤ r < Nを満たすrを見つける位数発見アルゴリズムというのを解きます。
1、重ね合わせ状態を準備
2、論理回路でモジュロ演算を行う
3、量子フーリエ変換を使って量子状態をビットで取り出す
となっています。ほとんどの量子回路は2番で行われて、量子フーリエ変換QFTは最後計算結果を取り出す前処理として行われます。
今回は15の素因数分解ということで、5量子ビットを利用しています。15の場合には量子回路もそんなに難しくないのでいいですね。下記が論文からの回路です。
引用:https://arxiv.org/pdf/2408.08138
5量子ビット計算が卓上でできるのは相当いいですね。
さて、光を使った計算にはいくつか種類があるそうですが、量子回路を見てみるとわかるとおり量子ビットと同じ計算になっています。量子状態を量子ビットのように行う計算を今回は光子という量子の単位1つで行うということでハードウェアが気になります。
簡易的な模式図での説明もついていました。
引用:https://arxiv.org/pdf/2408.08138
自分自身はあんまり光については詳しくないのですが、今回のshorのアルゴリズムを実行する上でまず必要なのが重ね合わせです。初期状態の重ね合わせに関しては、今回は時間ビンという手法で、単一の光子のパルスの発生時間を32に分割して用意しているようです。32は2の5乗ですので、32の時間ビンそれぞれに量子状態に対応する重ね合わせ状態を割り当てることで計算をできます。
通常量子ビットだと、5量子ビットを準備してそれぞれを重ね合わせ状態にして32の量子状態の要素を作るのですが、今回は量子ビットが多くないので時間分割でもいけるんですね。多くなると破綻しそうというか無理な気がしますがどうなんでしょうか。
また、計算についてはこれらの時間ビンに量子情報が格納されているので、離散化した時間ビン同士を計算させる必要がありますが、そこは時間差を利用してうまく行うようです。
偏光装置でパルスをそれぞれ偏光させた後、偏光したパルスのみを時間遅延させて後続の偏光していないパルスと干渉させるようです。また、この干渉している状態において更に偏光させると振幅が変わるようで、このような干渉操作を利用して量子状態の振幅を操作して計算するようです。時間同士で計算するので隣接が基本みたいですが、時間を飛ばして干渉もできるようでした。
光の導波路に対して、最初にゲートをおいて操作する形になっていて、時間ビンを操作するタイプの光量子コンピュータでした。光子が一つなので1量子ビットというわけではなく、時間で5量子ビット分の量子状態に分割して保存するので多くの計算ができるということでした。
世界にはいろんな計算方法があるんですね。。。以上です。
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