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シリコン量子エレクトロニクスと単電子輸送

Yuichiro Minato

2024/12/08 16:02

次世代の大量生産、多量子ビットデバイスを目指すため、現在シリコンを利用した量子コンピュータが開発されています。

シリコン量子エレクトロニクスの資料を参考に、量子閉じ込めによって作成された量子ドット内に、電子を導入するため輸送レジームについてみてみたいと思います。

Silicon Quantum Electronics

Floris A. Zwanenburg, Andrew S. Dzurak, Andrea Morello, Michelle Y. Simmons, Lloyd C. L. Hollenberg, Gerhard Klimeck, Sven Rogge, Susan N. Coppersmith, Mark A. Eriksson
https://arxiv.org/abs/1206.5202

量子閉じ込めおさらい

シリコンナノ構造内の電子は、材料と静電ポテンシャルの組み合わせによって閉じ込められます。2次元電子ガス (2DEG) は、Si MOSFETおよびSi/SiGeヘテロ構造で生成することができます。この場合、電子はx-y平面内では拘束されず、平面に垂直な方向には三角形のポテンシャル井戸によって閉じ込められます。

トンネリングによる電子の輸送について

2DEGに基づく量子ドットでは、横方向の閉じ込めはトップゲート電極によって定義されるソフトウォール型ポテンシャルによって実現され、これにより2DEG内のソースおよびドレインリザーバとトンネル結合が可能となります。これらのリザーバは、チップの端にある高濃度にドープされた領域を通じて、マクロスコピックな配線に接続されます。この結果生じるポテンシャル風景は、トップゲートを介した局所的な静電ゲーティングにより高度に調整可能です。

単一電子トンネリング

μNレベルがソースおよびドレインの電気化学ポテンシャルと整列すると、電子数はNとN−1の間で交互に変化し、単一電子トンネリング電流が発生します。

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引用:https://arxiv.org/abs/1206.5202

クーロンブロッケード状態

バイアスウィンドウ内に利用可能なレベルがない場合、電流は流れずデバイスはクーロンブロッケード状態にあります。ゲート電圧を調整することで、電気化学ポテンシャルレベル全体を上下にシフトさせることができ、クーロンブロッケード状態から単一電子トンネリングモードへと切り替えることができます。

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引用:https://arxiv.org/abs/1206.5202

量子輸送デバイスにおいて5つの輸送レジーム(電流がデバイス内をどのように流れるかを決定する特性)があります。

  1. マルチエレクトロンレジーム(クーロンブロッケードが輸送を阻害しないため、電子は自由に流れることができる)

  2. 逐次マルチレベルレジーム(バイアスウィンドウ内に複数の離散的なエネルギーレベルが存在する)

  3. 逐次シングルレベルレジーム(バイアスウィンドウ内に1つのエネルギーレベルしか存在せず、輸送が段階的に位相的でなくなる)

  4. コヒーレントレジーム(電子輸送が位相を保ちながら行われるため、輸送はコヒーレントになる)

  5. Kondoレジーム(Kondo効果が支配的となり、通常の輸送に加えて二次的な電荷遷移が輸送に影響を与える)

電子を輸送して閉じ込めて計算する量子ドットでは電子を的確に移動させて計算に利用できる状態に準備する必要があり、そのために量子閉じ込めと量子輸送を実装し、準備する必要があります。

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