2025年3月の量子コンピュータニュースから見るトレンド
2025年3月の量子コンピュータ関連ニュースを振り返ると、全体的なトレンドとしてハードウェア開発がFTQC(誤り耐性型量子コンピュータ)へ向かう必要があるものの、実用化には依然として時間がかかる状況が続いていることが浮き彫りとなった。その結果、アプリケーションの進展も停滞し、ソフトウェア関連のニュースは海外でもほとんど聞かれない。
一方で、実用化を見据えたサーバーラック型の量子コンピュータの開発が増加しており、従来の大規模冷却装置が必要なシステムから、データセンターや企業内で導入可能な形態へと進化する流れが見られる。
また、量子人材育成に成功する国が出てきており、各国の量子技術競争において「人材」という要素がより重要視される傾向も強まっている。その中で、日本は旧世代の量子コンピュータを多く開発してきたものの、産業化や技術開発の面で次のステップへ進まなければ、国際的な競争に取り残される可能性が高まっている。今後、日本がどのように量子コンピュータ技術の進展に対応し、産業化を加速させるかが重要な課題となるだろう。
注目の記事:
次世代型の開発:
ソシオネクスト、Google Quantum AIと提携し、量子コンピューティング制御SoCを開発
量子ソフトウェア不在のため、量子アニーリングが復権し出す:
D-Wave、査読付き論文で実世界の課題における量子超越性を示す
サーバーラック型の小型量子コンピュータ:
Equal1社、HPC環境向け6量子ビットシリコンベース量子サーバー「Bell-1」を発表
超伝導の商用化は着々と進む。研究機関向けHPC需要:
イタリアのスーパーコンピューティングセンターCinecaにIQMの54量子ビット量子コンピューターRadianceが導入
誤り訂正に向けた開発が進む:
NVIDIA、ボストンに量子コンピューティング研究センターを設立