イオントラップ量子コンピュータの利点を組合せ最適化問題の立場からお伝えします。
1,時間発展演算子と初期ゲートの相性が良い
2,量子ビットの結合が全結合なので定式化したらそのまま計算できる
となります。まず、時間発展演算子ですが、断熱計算をした時のハミルトニアンを対角化し、時間発展に利用する際に、イジングカップリングゲートをCXとRZで書き換える必要がなく、RZZなどが簡単に利用できる(初期ゲートセットがモルマーソーレンセンゲート由来の2量子ビットゲート)ので、式がとてもシンプルになります。これによってこれまで実行が厳しかった組合せ最適化問題の実行が量子コンピュータ実機上でできるようになりました。
そして、まずはシミュレータにかけてから実機での実行を行うのですが、シミュレータは接続が理想的な場合を想定されていて、通常平面上に量子ビットが配置されたマシンでは量子ビットの接続を考えて、量子アニーリングマシンではチェーンを、量子ゲートではswapゲートを活用して回路を書き換える必要があるのですが、イオントラップマシンは今後リリース予定の32量子ビットマシンであっても全結合が実現されています。
イオントラップマシンはこれまでの量子コンピュータよりも組合せ最適化問題を解くうえでとても有利なマシンとなっており、これまで実行が難しかった問題が実行できています。
以上です。