2023年、Intelは静かに一つの量子チップを発表しました。
その名は Tunnel Falls。

多くのメディアが「Intelが量子に本格参入」と報じたその裏で、業界の誰もが見落としていた“重大な事実”が隠されていました。

それは──
このチップが、すでにマイクロ波不要・外部磁場不要の“Exchange-Only量子技術”に対応していたという事実です。

開発者の間では予想がされていましたが、この事実は、後に発表された論文で初めて明かされました。「半導体で量子が本当にスケールする」という夢が、すでに現実のチップとして存在していたということになります。

かつて量子コンピュータは、デジタルとアナログが混在する“異世界の計算機”でした。
しかし今、その計算機は、かつてのトランジスタがそうであったように、ゲート電圧だけで制御される完全デジタルの存在へと進化しようとしています。

このブログでは、Tunnel Fallsに秘められた真実を皮切りに、半導体と量子の融合点であるExchange-Only技術の本質に迫ります。
そして、なぜ今「半導体量子コンピュータはスケールする」と言えるのか。
その背後にある、シリコンと量子の物語を解き明かしていきます。

また、そうしたハードウェア技術は符号化技術と密接に関係しており、既存のソフトウェア環境を活かすためには低レベルでのミドルウェアのスタックが必要です。弊社ではblueqatSDKを復活させ、この半導体からアプリケーションまでの抽象化レイヤーを含む効率化ツールとしての開発を開始しました。

[有料記事] CMOSが量子を制す日：Exchange-Only技術が暴く、半導体戦略の“秘められた真実”

Yuichiro Minato