GNNはモデルが多すぎて目的を決めないときつそうです。
最近Googleが気象を予測するモデルのブログ中で流体計算とGNNについて触れていたので、事例探しをするために検索してみます。
調べる前にChatGPTに聞いてみました。
GNN(Graph Neural Networks)と流体計算(Computational Fluid Dynamics, CFD)の組み合わせについての詳細を説明します。
### GNNと流体計算の組み合わせの理論的背景
1. **流体ダイナミクスの複雑さ**: 流体の挙動は非常に複雑で、従来の数値的アプローチでは高い計算コストがかかります。特に、乱流や多相流などの複雑な現象をモデル化することは困難です。
2. **データ駆動型アプローチの登場**: 機械学習、特にディープラーニングは、これらの複雑な現象をデータから学習することが可能です。GNNは、グラフ構造データの学習に特化しており、流体の流れや圧力分布などを効率的に表現できます。
### GNNの適用方法
1. **グラフ表現の構築**: 流体領域をグラフとしてモデル化します。ノードは流体の特定の位置を、エッジはこれらの位置間の流体の相互作用を表します。
2. **特徴抽出**: 各ノードには、速度、圧力、密度などの流体の物理的特性が特徴として割り当てられます。
3. **メッセージパッシング**: GNNは隣接するノードからの情報を集約し、各ノードの新しい表現を生成します。これにより、局所的な流れのパターンがグローバルな挙動に統合されます。
### 応用例と利点
1. **高速化と効率化**: GNNを使用することで、伝統的なCFD手法に比べて計算時間を大幅に削減することが可能です。
2. **予測モデリング**: 実験データや既存のCFDシミュレーション結果から学習し、未知の条件下での流体の挙動を予測することができます。
3. **複雑な現象のモデル化**: 乱流や化学反応を伴う流れなど、伝統的なモデルでは捉えきれない複雑な現象を学習し、より正確な予測を行うことができます。
### 課題と制限
1. **データ依存性**: GNNは学習データに大きく依存します。十分な量と質のデータがないと、モデルの精度が低下します。
2. **解釈の難しさ**: GNNによる予測は、従来の物理ベースのモデルより解釈が難しい場合があります。
3. **一般化の問題**: 特定の条件や設定に特化したモデルは、他の条件下ではうまく機能しない可能性があります。
### 結論
GNNと流体計算の組み合わせは、CFDの分野において大きな可能性を秘めていますが、実践的な応用にはまだ多くの課題が残っています。このアプローチは、従来の数値的手法と組み合わせることで、より効果的になる可能
性があります。研究が進むにつれて、これらの技術は流体力学の理解と応用の範囲を広げていくでしょう。
ということで、本当かわかりませんがこういう答えが出ました。流体をグラフとして捉え、特徴量を決めてモデルに。その後メッセージパッシングによって、情報を順次伝達して出力を得るようです。
ネットを調べてみましたが、論文が中心で解説は限定的でしたが、いくつか見つかりました。
Fluid Simulation System Based on Graph Neural Network
Qiang Liu, Wei Zhu, Xiyu Jia, Feng Ma, Yu Gao
https://arxiv.org/abs/2202.12619
「伝統的な流体力学計算は、偏微分方程式を解くことで流れ場の物理情報を計算しますが、これには長い時間がかかり、多くの計算リソースを消費します。私たちは、グラフニューラルネットワークのアーキテクチャに基づいた流体シミュレーションシミュレータを構築しました。このシミュレータは、高速な計算速度と低い計算リソースの消費を実現しています。計算領域を構造グラフとして捉え、構造グラフ内の計算ノードは、適応的サンプリングを通じて隣接ノードを決定します。注意力グラフニューラルネットワークを用いたディープラーニングアーキテクチャを構築します。異なるレイノルズ数の円柱周りの流れ場のシミュレーション結果に基づいて、流体シミュレーションシミュレータを訓練します。訓練された流体シミュレーションシミュレータは、トレーニングセット内の流れ場の予測に非常に高い精度を持つだけでなく、トレーニングセット外の流れ場を外挿することもできます。伝統的なCFDソルバーと比較して、流体シミュレーションシミュレータは2〜3桁のスピードアップを達成します。流体シミュレーションシミュレータは、流体力学モデルの迅速な最適化と設計、およびインテリジェントな流体メカニズムのリアルタイム制御に対する新たなアイデアを提供します。」
Graph neural network-accelerated Lagrangian fluid simulation
Zijie Li, Amir Barati Farimani
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0097849322000206
「我々は、ラグランジュ表現下での流体シミュレーションのためのデータ駆動モデルを提案します。私たちのモデルであるFluid Graph Networks(FGN)は、流体場を表現するためにグラフを使用します。FGNでは、流体粒子はノードとして表され、その相互作用はエッジとして表されます。現在の状態から直接加速度や位置修正を予測するのではなく、FGNはシミュレーションスキームを移流、衝突、圧力射影といった別々の部分に分解します。これらの異なる予測タスクに対して、私たちはノードに焦点を当てたネットワークとエッジに焦点を当てたネットワークという2種類のグラフニューラルネットワーク構造を提案します。学習されたモデルは、異なる幾何学的状況においても正確な結果を生み出し、安定していることを示します。さらに、FGNは非圧縮流体の多くの重要な物理的性質、例えば低速度発散を保持し、トレーニングセットで使用されたものよりも大きいタイムステップサイズに適応することができます。推論中に各タイムステップでの反復を必要とせず、より小さな近傍で操作するため、FGNは古典的なシミュレーション方法と比較して計算効率が高いです。」
グラフ ニューラル ネットワークによる物理を考慮した機械学習モデルの開発
2023年の記事です。NVIDIAのフレームワークのようです。
「NVIDIA Modulus は、物理を考慮した機械学習 (physics-ML) モデルとして知られる物理的システムのディープラーニング モデルの構築、トレーニング、ファインチューニングを行うためのフレームワークです。Modulus は OSS (Apache 2.0 ライセンス) として提供され、成長する physics-ML コミュニティをサポートしています。」
「今回のアップデートでは、1) グラフ ニューラル ネットワーク (GNN) やリカレント ニューラル ネットワーク (RNN) を含む新しいネットワーク アーキテクチャのサポート、2) AI 実務者の使い勝手の向上、の 2 点が大きなポイントとなっています。」
どうやらフレームワーク単位で使えるようになったようです。
「GNN の応用により、研究者はシステムをグラフやメッシュとして表現するシステムをモデル化することができます。この機能は、計算流体力学、分子動力学シミュレーション、材料科学などの用途で有用です。」
「NVIDIA Modulus の最新バージョンには、GNN のサポートが含まれています。これにより、特定のユース ケースのために独自の GNN ベースのモデルを開発することができます。Modulus には、Learning Mesh-Based Simulation with Graph Networks (グラフ ネットワークによるメッシュベースのシミュレーションの学習) で紹介された方法に基づく MeshGraphNet アーキテクチャを使用するレシピが含まれています。このようなアーキテクチャは、パラメーター化された渦放出データセットで学習済みの MeshGraphNet モデルを含む Modulus で訓練できるようになりました。この学習済みモデルは、NVIDIA NGC を通じて入手可能です.」
なんか論文が紹介されていました。
LEARNING MESH-BASED SIMULATION WITH GRAPH NETWORKS
Tobias Pfaff∗ , Meire Fortunato∗ , Alvaro Sanchez-Gonzalez∗ , Peter W. Battaglia
https://arxiv.org/pdf/2010.03409.pdf
「Modulus は、GraphCast: Learning Skillful Medium-Range Global Weather Forecasting (GraphCast: 巧みな中距離の世界天気予報の学習) で提案された GraphCast アーキテクチャも含んでいます 。GraphCast は、グローバルな天気予報のための GNN ベースの新しいアーキテクチャです。」
ということでGraphCastの論文も紹介されていました。
https://arxiv.org/pdf/2212.12794.pdf
「GraphCast のアーキテクチャは、エンベッダー、エンコーダー、プロセッサ、デコーダーの 4 つの主要コンポーネントで構成されています。エンベッダー コンポーネントは、入力された特徴を潜在的な表現に埋め込みます。エンコーダーは、グリッドの潜在的な特徴のローカル領域をマルチメッシュ グラフ表現のノードにマッピングします。プロセッサは、学習されたメッセージパッシングを用いて各マルチメッシュ ノードを更新します。 最後に、デコーダーは処理されたマルチメッシュの特徴をグリッド表現にマッピングします。」
一般的なGNNのように特徴量をノードにマッピングして計算するようです。
GraphCastに関しては以前別のブログでも紹介しました。
https://blueqat.com/yuichiro_minato2/74183ea0-bfff-40e5-92d4-7459bdd1653f
あとは、GNN以外にRNNモデルもあるようでした。
グラフニューラルネットワークを用いたメッシュベース数値解析の汎用的な学習
堀江 正信, 森田 直樹, 井原 遊, 三目 直登
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsces/2020/1/2020_20201005/_article/-char/ja
こちらは日本語の論文でした。GCN、畳み込み形式のモデルが紹介されています。
やはりパッとみた感じどこから取り掛かればいいのかわかりづらかったです。
NIVDIAから実装がリリースされているので、上記のふたつのGNN実装から入るのが入りやすそうと感じました。以上です。