こんにちは、相変わらず量子コンピュータ業界は進捗が速くて大変です。最近では自動車業界もモビリティという枠で変遷激しいですので、その両方をまとめてみたいと思います。
基本的に今よくニュースになっているのは、
1,生産最適
2,物流最適
3,設計最適
4,バッテリー開発(量子化学)
となっています。これらはこれまで量子コンピュータで発見されているアルゴリズムが組合せ最適化問題と量子化学計算であったことに起因します。
最近の最新の研究では、実質的にこれらの計算は量子コンピュータの近年のハイブリッド計算ではあまり精度がでないということでだんだんと次の方式にアプリケーションが移行しているため、いくつかの企業のロードマップでは上記の最適化計算や量子化学計算は実用化時期が後ろにずれこんでいます。
その代わり最近注目されているのが、
5,量子機械学習
となっています。これまでは量子アニーリング中心であったメーカーもゲート方式への切り替えが進んでいます。その最も有名なのが、Honeywellのマシンを使ったBMW社のQAOAを利用したサプライチェーン最適化です。これまで、BMWはD-Waveを利用していましたが、今回はシンガポールのベンチャー企業と組んでゲート方式での10量子ビット前後の組合せ最適化問題を解いています。フォルクスワーゲン社も最近ではゲートマシンの活用事例も増えており、量子ゲート方式への切り替えが進んでいます。
理由として考えられるのが、そのパフォーマンスで、やはり量子コンピュータや量子アニーラでの計算の精度を高めるのが難しいことが各社わかってきているので、実用化重視の姿勢と、あくまで量子コンピュータのPoCとしての調査重視の姿勢が段々と割り切るようになってきています。BMW社に関しては、量子ゲートのQAOAに取り組んで10量子ビット程度の計算がニュースになりますので、やはり、将来的な展望への技術力のたくわえと調査目的が主体になっていると思います。
量子ゲートではまだまだ本格利用するにはかなりのコストと覚悟が必要ですので、そのあたりのバランスと技術力の取得は各社かなり高度化しているのが見て取れます。
また、現在は量子機械学習の開発が活発化しており、中国でもBaiduやテンセントも開発を加速しています。量子コンピュータを利用したアプリケーション開発でも量子ゲートの最適化や画像認識を含む量子機械学習が活発化しています。
また、ハードウェア面でもIonQなどの新興企業が常温動作する小型の量子コンピュータの開発を進めており、インテル社なども、既存半導体設備を利用してつくる新しいシリコン量子ビットと呼ばれる方式を採用し、集積化への道を突き進んでいます。このようにハードウェアの小型化や集積化のめどが立ちつつある中で、新しい産業として量子コンピュータがリアルに認識され始めています。
自動車業界も日本国内の状況を見るだけではなかなか量子コンピュータの動向を把握するのは難しく、量子ゲートの難解なソフトウェアの取得をする世界的な自動車メーカーも増えているのが、今後日本のソフトウェア開発を概観するうえでも重要になってきています。