量子戦略の中にアニーリングを活用した業務応用という項目があるかと思います。一方で、昨今では量子技術の早期の実用化は厳しそうな情勢となってきました。そんな中で、量子アニーリングから量子を取り、普通にシミュレーテッドアニーリングや遺伝アルゴでの業務応用を探索する道を作りました。
量子の中で量子アニーリングマシンもNISQ量子ゲートでも、FTQC量子ゲートでもQUBOと呼ばれる定式化を使うだろうという流れは変わっていません。ですので、将来的な活用を見込むことでもQUBOと呼ばれる定式化のみに着目しても良いかという考え方です。
TYTANはそんな中で企業の有志で開発が進められているオープンソースのQUBOのアニーリングプラットフォームです。さまざまな企業が参画し、それぞれ事業に活用し始めています。
ウェブサイト
総合的な情報が詰まったウェブサイトです。
Github
SDKと呼ばれる開発キットが公開されています。
チュートリアル・カリキュラム
使い方の例が日々アップロードされています。
https://github.com/tytansdk/tytan_tutorial
勉強会
ウェビナーの予定が公開されています。有料や無料のものがあります。
コミュニティ
discordと呼ばれるプラットフォーム上でコミュニティ運営されています。
概要
TYTANは「タイタン」と呼び、中はQUBOを活用したソフトウェア開発キットSDKとなっています。ソフトウェアを開発した後の簡易的なシミュレーターも搭載されており、これ一つで完結する代物です。言語はPythonで記述されており、無料でダウンロードやインストールができ、商用利用も自由です。
目的
TYTANの目的は業務最適化です。一部研究用途もありますが、基本的にはビジネス課題をどう解決して効率化し、コストを削減して利益を増やすかというのがいちばんのポイントとなります。そのための業務課題の落とし込みのところを重視しています。
SDK
TYTANに対応していればそこの上で作ったソフトウェアはTYTANに対応したハードウェアでしたら大体そのままま動きますので、将来にわたってのソフトウェアの資産が無駄になりません。
ハードウェア
TYTANの特徴としてさまざまなハードウェア対応されているという点があります。まずはTYTANの単体でソルバーと呼ばれる1000量子ビット単位までの問題をスムーズに解けるツールが搭載されています。また、より大きな問題が解きたい場合には、クラウドAPIという各社が提供する契約して使う大規模な問題を解くためのソルバーが提供されており、主にAPIキーと呼ばれるキーを使って有料の問題を解くことができます。業務応用問題が難しく大規模なものになってくると企業が提供するそのようなサービスを利用する必要も出てきます。また、オンプレと言って手元にPCとして持っておきたい場合にも活用でき、TYTANとPCの内部にあるソルバーを活用することで、外部にデータを出さずに大規模な問題を解くことができます。オンプレもクラウドも現在はCPUやGPUベースのものも増えてきており、自分で作ったソルバーを繋げることもできます。
QUBO
問題設定は全てQUBOと呼ばれる01の値を使った最適化問題への落とし込みを利用します。将来的な量子の時代に備えるためにもQUBOを覚えておくと心配が減ります。多くの企業がこのQUBOの開発に人員を割いています。問題設定はこのQUBOを覚えることが重要です。
カリキュラム
業務課題の最適化は広範囲に及びます。これまで企業での成功例はカリキュラム通りにきちんと学ぶことで社内に文化が根付き、自社の課題を構築できるようになったものです。そうなるとプレスリリースでも研究発表でも経営戦略でもなんでも自由自在です。弊社では、6-10回に分けたカリキュラムを提供しておりました。また、そのようなカリキュラムは一般的なQUBOの使い方を指南することでイメージをしてもらい、社内で実装できる人材を見つけることができます。カリキュラムを学んだ人材が全てQUBOに精通することができるわけではなく、QUBOができる人材を見つけるという視点が重要です。上記のカリキュラムのチュートリアルのリンクから大体の企業に必要なQUBO定式化の例題が習得できます。
人材
人材は一筋縄で行きません。数理最適や量子の世界では人材の不足が叫ばれていますが、向いていない人材に無理やり学ばせても全く覚えることができないです。カリキュラムや人材育成はほぼ適正人材「発掘」の意味合いを現状では持っています。そのため社内から広く人材を募集し、発掘することが重要です。一旦発掘できればあとはスルスルと学んでいくことでしょう。
採用・就職
量子業界の問題の一つに黎明期で安定せず、ビジネスが不確定なことがあります。そのため量子人材を育成してもその応用先や就職先がありません。ただ、一般企業でも量子の重要性は浸透し始めており、量子ができるというと就職が有利な事例も増えていると実感します。現状では100%量子の仕事はそう多くはないので、その辺りのバランスも鑑みる必要があります。TYTANではコミュニティとしてそのような量子人材の採用も積極的に行う予定です。
コミュニティ
何かわからないこと、最新の情報は会得しづらいものです。slackは文字制限がつくので最近はdiscordを利用したコミュニティが活発です。ウェビナーも直接discord内部での音声チャンネルで行ってしまうため、zoomを使わず、質問や情報共有がよりスムーズです。ぜひそちらにもご参加ください。
認定試験qubomaster
自分がどれくらいの実力にあるのか分かりづらいので、第三者から認定をもらうのが手っ取り早いです。私たちも9年近くQUBOアニーリングをやっているので、どれくらいできれば仕事にできるかどうかがわかっていますので認定しやすいです。qubomasterという形で認定をしています。
勉強会
どこから始めればいいのか、どのレベルなのか、どういう人がいるのか、勉強会に参加することでわかります。connpassから今は主にオンラインでdiscordやzoomでの開催です。無料のものが多いですね。企業や国プロ主導の有料や本格的な物も増えてきました。
TYTAN自体はアニーリングや量子を仕事にしたいという企業の要望から生まれました。結果として個人レベルでの育成にも成功し、クライアント企業でも満足した成果が得られているという企業も増えてきています。このような成功体験をベースに少しずつアニーリングに取り掛かってみたい人や企業に活用してもらえればと思います。以上です。