アニーリングやNISQビジネスの崩壊を無傷で乗り切った日本大手企業の量子着想戦略

ベンチャー企業は当たればでかいけど、ほとんど当たらないところが弱点です。大手は多くの社員を抱えるので事業化には慎重です。


日本はとにかく物理学の強い国です。仕事をしていても多くの物理学に精通した人が大手企業にいます。この度D-Wave社の実質的なアニーリング事業の縮小方針に対して、やっぱりと思っている大手企業がほとんどだと思います。日本の大手企業がどのようにこの事態を予見し予防線を張っていたかを解説します。


実は事業検討段階でかなり懐疑的だった大手

今更いうなですが、今だから言える事情があります。それは、本当にアニーリングは事業になるのか?です。これは三ヶ月事業検討すれば、事業化が難しいことはすぐにわかります。


アニーリングはヒューリスティクスと言われ、時々良い答えが出ますが、ほとんどの場合答えが出ません。時々良い答えが出た時の答えを持ってうまくいったと言えるのです。


これでは、いつ答えが出るのかわからなくて仕事にならないのがすぐにわかります。


しかし、世界的な流れとして量子をやらざるを得ない大手は量子着想という裏技を思い付きます。


開発コストほぼゼロの量子着想

それは、ハードウェア開発コストをかけず、既存コンピュータを使って格安で量子コンピュータに近いものを作るのです。これは昔からシミュレータとして行われている方法で最も手っ取り早く、コストを全くかけずにできます。各社には大体元々アニーリングに近い計算はやってるので、それを流用できます。


主に使われるマシンはGPUやFPGAなどがあります。


これらを使って量子アニーリングに近いものを作れば、コストをかけずに近い計算ができて事業検討ができるのです。ほんものをつくると本当に使えるのかわからない段階で数百億単位でのコストがかかります。それを回避する手段が量子着想です。大手企業は量子コンピュータブームを最初はコストゼロで量子着想で乗り切ります。


水面下で進めていたゲート計画が続々発表に

したたかなもので、最近では、本格的に量子コンピュータへの参入が少しずつ大手でも進み、富士通さんが理研、日立さんはシリコン、NTTは光マシンなど、アニーリングでは量子着想で凌いでいた企業も汎用ゲートでは本物のマシンを作り始めています。これは、量子ゲートマシンではシミュレータ運用が厳しく、基礎研究においても実機が必要とされるという事情があります。


ゲートもNISQは産業化失敗

量子ゲートといえども産業化は容易ではなく、小規模エラーありマシンのNISQでは産業化にほぼ失敗しており、米国の超伝導ハードウェアメーカーは苦境に陥っており、続々と企業評価を落とす中、次の段階のFTQCに向かっています。日本の大手はNISQはノータッチで乗りこえました。FTQCも全く成功が約束されていない魔境ですが、ここでも日本の大手の出方は要注目です。以上です。

Yuichiro Minato
blueqat CEO/CTO 2015年総務省異能vation最終採択 2017年内閣府ImPACTプロジェクトPM補佐 2019年文科省さきがけ量子情報処理領域アドバイザー
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Yuichiro Minato
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