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受託スキーム徹底解説 ― スモビジで年3,000万まで無理なく回す方法

Yuichiro Minato

2025/09/21 07:59

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自分は受託で億を超えたことで結構無理ができたのですが、受託で幸せなのは1000-3000万円くらいかなと感じています。弊社では受託をやめて今後サービス中心に行っていくので備忘録として必要な方のために受託について書きます。

1. 受託はシンプルで強い

受託開発は「顧客の要望に応じて作り、納品して入金」という明快なビジネスモデルです。
営業・経理・開発の構造がシンプルで、IT分野ならリモートワークによって事務所不要・交通費不要・地域に縛られない。この軽いコスト構造が、スモビジとして非常に魅力的です。

日本の場合下請け文化が強く、この受託が成り立ちます。大手の受託・中小の受託それぞれ多少違いがありますが基本的には同じです。

2. スモビジの売上レンジ感

  • 年1,000万規模:フリーランスや1人法人で十分回せる
  • 年3,000万規模:2〜3人のチームを組んで拡張すれば無理なく運営可能

👉 この規模感までなら「スモビジとしての幸せな暮らし」を維持しつつ、安定した収益を確保できます。

3. チーム化と運転資金

チームを雇用すると、毎月の固定費(人件費・社会保険等)が発生します。
また、大手案件では入金サイクルが2〜3ヶ月後になるのが一般的です。

👉 事前の資金計画ができるかどうかが成否を分けます。

4. 納品リスクと上流設計の重要性

受託で最大のリスクは「納品の遅れ」です。これが発生すると、

  • キャッシュフロー計画が崩れる
  • 顧客からの信頼を失う
  • チーム全体の士気も下がる

このリスクを防ぐために最も重要なのが上流設計の精度です。

  • 要件定義を曖昧にせず、最初に固める
  • 工数や仕様変更リスクを見える化する
  • 設計段階で合意形成を徹底する

上流をしっかりやることで、納品トラブルを未然に防ぎ、結果として資金繰りの安定にもつながります。

トラブルは他の案件にも飛び火しますので気をつける必要があります。

5. 自分の時間を守る「提案力」

受託では「顧客の要望をすべてそのまま受ける」と、自分の時間が奪われて計画通りに進まなくなります。
そこで必要になるのが、こちらからの提案です。

  • 納期や工数を現実的に調整する提案
  • 優先順位を整理し、段階的にリリースする提案
  • 顧客の目的に合った代替案を出す提案

「ただ言われたものを作る」のではなく、「成果と持続性を両立する方法」を提案できることが、受託を無理なく続ける最大の武器です。

6. キャリアの持続性

若いうちは開発フル稼働でもいけますが、年齢を重ねると無理は効かなくなります。

  • 上流設計スキルでプロジェクト全体を設計
  • マネジメントスキルでチームを動かす

プレイヤーから設計・管理に移行することで、受託ビジネスを長期的に続けることが可能です。

7. 受託の幸せと限界

  • 幸せの形:年1,000万なら個人で、年3,000万ならチームで。生活の安定と自由度は十分に実現できる。
  • 限界:時間=売上であり、資産性は薄い。大規模な挑戦や研究開発には不向き。

私自身、半導体量子コンピュータを開発するという目的達成のためには、調達とスケールが必要でした。だからこそ17年続けた受託を辞め、次のステージに進む決断をしました。

8. 中小と大手の違い

一番の違いは未払金があるかどうかです。大手はまずありません。しかし年間契約とかにすると入金が4月末一括になるので、その点は留意が必要です。自分は受託で億単位を回していた時は運転資金が数千万円単位で必要となり、資金調達をしているベンチャーとしては不適当と感じてやめました。本来はベンチャーみたいに資金調達している企業は受託は割高で、借入で済ますべきであり、これが蔓延っていることが日本のベンチャーの時価総額を下げている要因と見ています。製造の下請けでしかお金を回せないのは日本の弱みだとは思います(どうでもいいことですが)。

まとめ

受託開発は、

  • シンプルで無駄のないビジネス
  • 年3,000万規模までなら無理なく安定運営可能
  • チーム化には運転資金計画が必須
  • 納品遅延リスクを避けるためには上流設計が重要
  • 自分の時間を守るためには提案力が必要
  • 年齢に応じて設計・マネジメントに移行することで持続可能

スモビジとして「幸せな生活」を実現するには最適な選択肢であり、人生のフェーズに応じてゴールにもステップにもなり得ます。

ただ!健康が一番です。健康を崩すことを考えると無理をすると全てが崩れますので、頑張って最初の数年を回せるようにしてください。五年耐えれば大体大丈夫です。

追記で自宅でやることをお勧めします。自宅であっても経費に計上できる分ができますので、税務署と協議の上、半分とか1/3とかを経費に入れることができます。家賃や光熱費などです。

追記で営業ですが、営業コストをかけないことが重要です。きちんと仕事をこなして紹介で少しずつ仕事が増えることを目指します。最初は単価が低い5-10万円の仕事を掛け持ちして、少しずつ単価を上げていきます。20万円以上の仕事が増えてくると50万円、100万円と単価が上がっていきます。300万くらいの単価の仕事も多いですが、1000万から3000万もぼちぼちあります。1億くらいの案件は中小や大手も参加してくるので競争が激しくなり、与信などあんまりお勧めしません。3000万くらいの単価くらいまでは普通に取れます。

複数の単価の低い仕事をこなせるようになると高い単価の仕事がきますが、予定が埋まっているため受けるのが難しくなります。その際に断れる、引き継げるかどうかが結構ポイントで、ステップアップのためにはこれまでの仕事を断る・終わらせるスキルが必要です。

追記:思い出したのが、緊急の案件は仕事が取りやすいです。炎上もしやすいですが発注側も緊急で無理を承知なのであまり厳しく言えないので、単価も高く新規を取りやすいです。困ってるクライアントのお手伝いをきちんと片付けて上げるのも信用が上がるポイントです。

追記:面倒見がいい人は得をする業界ですが、やはり断る力も重要です。自分はこれができなくてかなり苦労しました。相手のために断るということを覚える必要があります。自分が無理をすれば全ての計画が飛んでしまって相手に迷惑をかけることになります。また、新規で単価の高い仕事がきた場合、手持ちのプロジェクトがいっぱいで入らない場合、無理やり調整をしますが、そのタイミングで単価の低い仕事を今後断る必要があります。そうした引き継ぎや断るという姿勢はかなり重要です。始めるのは簡単ですが、終わらせるのが難しいので、終わらせる技術を身につけるとグッと単価も上がり、余裕が出ます。

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