こんにちは、米国のscience紙にこの度、中国のチームが光量子コンピュータで達成した計算がニュースとなっています。ちょっとみてみましょう。
中国科技大、光量子コンピュータで「量子超越性」を実証 スパコン富岳で6億年かかる計算を200秒で
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2012/04/news146.html
論文リンク:
Quantum computational advantage using photons
https://science.sciencemag.org/content/early/2020/12/02/science.abe8770
今回達成したこと
詳しい内容はより詳しい技術者の方から聞くとして、今回はある確率分布を生成するのにかかった時間を単純に比較をし、中国のスパコンで25億年、日本の最新スパコンで6億年かかる計算を200秒で終わらせたというものです。
すごいことなのか?
昨年Googleも同様の研究を行い、別の回路でスパコンで1億年かかる計算を200秒で終わらせたという発表をしたばかりですが、今回も同様にすごいことだと思います。
光量子コンピュータは?
通常私たちがニュースでよく聞く種類の量子コンピュータは超伝導式で、冷凍機の中に入れてチップを計算するタイプです。今回のものはレーザーを利用して計算するタイプのものです。計算原理が異なり、ソフトウェアなども別のものを使います。常温で動きます。最終的な原理は超伝導と同じ汎用量子コンピュータと呼ばれるタイプのもので、理論上従来のコンピュータを置き換えることができます。
役に立つ計算なの?
今回実装したのはガウシアンボソンサンプリングと呼ばれるもので、特定の行列から生成される確率分布を取り出すものになっています。元となる行列をいじれば意義のある計算ができると思われ、今後はよりプログラマブルで意味のある計算が求められます。今回は特に意味のある計算をしているわけではなく、単にスパコンと速度勝負をして、100兆倍という性能を出したようです。次の目標は意義ある計算の実装になると思います。
今後どうなる?
今回の回路は計算は固定なので、プログラマブルと言って、都度計算を変更できるような量子コンピュータの構築に向かう必要があります。材料計算や最適化計算などへの利用が想定されているので、パワフルな機能を使ってぜひ実現してもらいたいです。大変楽しみですね。
以上です。
おまけ宣伝
今回の光量子コンピュータでは従来のソフトウェアが使えません。光量子専用のソフトウェア開発キットを自社で開発していますので、ぜひ興味ある人はみてみてください。