日本は量子コンピュータ以外に自動車製造業の割合が多いので、そのあたりをちょっとまとめてみたいと思います。
米国ではFord社、ドイツではフォルクスワーゲン社やBMW社、国内ではDENSOや豊田通商などが取り掛かっています。
事例1:交通最適化
もっとも量子コンピュータの利用で有名なのが、交通最適化問題です。こちらは組合せ最適化問題と呼ばれるテクニックを利用して、渋滞を緩和しようというものです。自動車の位置情報から道路の混雑度を計算し、その混雑度を計算で減らそうというものです。実際に、計算した結果は混雑に巻き込まれている自動車に対して混雑を緩和するような経路を提示することができます。こちらは、北京市内から北京空港までのタクシーの混雑を計算で減らすという試みがドイツのフォルクスワーゲン社によって行われました。
事例2:材料計算
自動車業界はこれから電動化の波が訪れます。電気自動車に欠かせない高性能バッテリーの開発には莫大な研究開発が必要です。量子コンピュータでは将来的に計算化学を効率的に計算するという目標があるので、その目標に向かって量子コンピュータの理論応用が日々開発されています。こちらの材料計算は同じくフォルクスワーゲン社が米国と取り組んでいます。
事例3:生産最適化
自動車の生産ラインについてのコスト削減や最適化計算についても量子コンピュータの活用が検討されています。主には工場内部の自動化されたフローの最適化で、シフトやロボットの動きを最適化し、より効率的に生産を行おうという試みです。DENSO社やフォルクスワーゲン社で行われています。
事例4:設計最適化
自動車を設計する際の設計工程の最適化についても利用が始まっています。フォルクスワーゲン社では、ドアミラーの設計において、自動車内部の騒音が最小になるような最小値問題として設計に量子コンピュータを応用するほか、自動車の重量などを軽量化する設計などへの応用を探索しています。
事例5:量子機械学習
今後は自動車もデータを活用する時代に入っていきます。その中で注目されているのが量子機械学習です。量子機械学習は既存のコンピュータのAIと同じようにデータを活用し、そのデータの傾向を量子コンピュータの回路におぼえこませて活用します。現在自動車業界においても量子機械学習の基本的な研究が始まっています。応用範囲は画像認識などのこれからの自動車に欠かせないものも含まれているので、注目です。
まとめ
自動車業界はおもに、組合せ最適化問題、量子化学計算、量子機械学習を中心に実社会問題に対応していくと思われます。車内に量子コンピュータを導入するのは遠い未来となりそうですが、周辺技術から導入が進むと思われます。