記憶容量の壁を越える:QAOAとHOBO最適化で実現する量子コンピュータによる次世代ナビゲーション圧縮技術
私たちが日々使っている地図アプリや車載ナビは、「ルート圧縮」と呼ばれる処理を行い、地図上の情報をコンパクトに保存・伝送しています。しかし、ルートが複雑になればなるほど、圧縮効率は低下し、メモリや通信帯域に負荷がかかります。
今回私たちは、こうした課題に対して量子最適化のアプローチを導入し、慶應義塾大学とHOBO(Higher Order Binary Optimization)を用いた新たなルート圧縮手法を提案しました。
量子最適化とは?HOBOとは?
量子コンピュータで注目される組合せ最適化アルゴリズム「QUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)」を拡張したのがHOBOです。HOBOはより高次の相互作用を取り入れ、複雑なルートの構造も高精度で表現可能になります。
RDPアルゴリズムとの比較
従来広く使われている「Ramer-Douglas-Peucker(RDP)」アルゴリズムと比較した結果、HOBOベースの手法は高い圧縮率向上を実現しながら、ルートの精度はナビゲーションに支障がない範囲に収めることに成功しました。
本研究では、実際の地図データを用いてHOBOを構築し、QAOAで解を探索することで、従来手法よりも優れた圧縮性能を達成しました。
実用化に向けて
この成果は、量子コンピューティング技術をインスパイア元としたアルゴリズムが、現実のモビリティやナビゲーションシステムにおいても有効に活用できることを示しています。
blueqatでは、こうした技術を実際の交通・物流・スマートシティ分野に展開するための検証を今後も続けていきます。
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