ビジネス週刊誌みたいなタイトルで始まりました。
量子コンピュータのビジネスってまだまだ広がっている途中ですが、米国を中心にとんでもない額の投資が進んでおり、産業化、ビジネス化がいままでとは比べ物にならない速度で進んでいます。
今回はイオントラップとシリコンの二種類の量子コンピュータのデータセンターをターゲットとした新しい量子コンピュータ競争が過熱し始めているという話題です。
国内はまだそんなに新型マシンの紹介は少ないですが、世界ではすごい速度で進んでおり、データセンター配備型が2023年に登場予定となっています。サイズは手に乗るくらいで、常温動作のものとなっていて、同じものの大きいものがすでにamazon aws/microsoft azure/google gcpで提供されています。
常温動作のマシンは、イオントラップ方式と呼ばれていて、アメリカのIonQとオーストリアのAQTが開発に成功しており動作していることがアナウンスされていますし、IonQは実際に私たちも利用することができます。
日本ではこのイオントラップ型の常温量子コンピュータの産業向けは開発されていないため、めったにニュースで取り上げられることはありません。日本として、この量子コンピュータのデータセンター配備の競争に勝つためにはどうすればよいのでしょうか。それは最近、日立製作所さんが出したニュースにヒントがあります。
世界ではこのイオントラップのデータセンター配備に対抗するマシンとしてシリコン型という新方式があります。シリコン型は以前から研究開発されていましたが、最近量子ビット数が増えてきてもつれがつくれるようになってきました。比較的安価に製造でき、量子ビットが数百万から億単位で集積化でき、既存半導体設備が使えるため量産化が比較的可能というメリットがあります。
世界でのシリコン型でデータセンターを狙うのは、アイルランドのequal1、オーストラリアのSQC、米国のインテルなどとなっています。
そして、量子コンピュータの高速性が発揮しきれなくても産業応用されるめどが立ってきたのが省消費電力性です。電子やイオンを単体で計算するため発熱が少なく、全体として消費電力を大幅に抑えるという目的が重視され始めてきていて、世界の消費電力の増大に対応する次世代マシンとしても注目が集まっています。実際にGoogle責任者のネブン氏やequal1などが消費電力に言及し始めており、IonQも消費電力への言及をしており、今後はこの流れが加速すると思われます。
ソフトウェア面においても大きな変化が見られます。これまでは高速アルゴリズムをベースとして、位相推定や振幅推定など高速性に注目が集まっていましたが、省消費電力性が期待されるとソフトウェアの発展も急激に広がります。そのため、これまで応用が考えられていなかったような分野においても量子コンピュータの応用が考えられるようになっており、実際に最近発表されたBCGのレポートは量子コンピュータの高速性の視点ではなく、産業界の需要の視点からソフトウェアの分類がされています。
このように今後2023-2024を一つの目途として全世界で量子コンピュータをめぐるビジネス化の動きが活発化していますので、注目したいところです。以上です。