量子コンピュータの将来的な可能性に関して考察をしています。2021年はこれまでのNISQのハイブリッドが厳しかったので、将来的な誤り訂正機構付きの量子コンピュータに進んでいます。ハードウェアはイオントラップなどが進んでいますが、空間にビットが固定された量子ビット型の量子コンピュータのほかに、量子モード型の空間を飛び回る量子タイプの光量子コンピュータなどが出始めています。
今後気になる人は暗号が解けてしまうのではないかと心配すると思いますが、現在の量子ゲート方式にshorのアルゴリズムを適用することで暗号が解けるといわれていますが、今のマシンの性能からいうとまずすぐに解かれるということはありません。しかし将来的には影響を受けるということで引き続き検討はされています。ただ、量子コンピュータのビジネスは研究所や大学などが主体となっているので、暗号資産業界との親和性はあまりありません。とはいいつつ、新しい技術との統合によってイノベーションが起きますので、新しい技術を常に調査する必要もあると思います。
最近NFTなどのデジタル資産を自社で作ってみましたが、今後引き続き、暗号資産関連の技術もウォッチしたいと思います。今回は独自トークン、ユーティリティートークンやセキュリティトークンなどについてです。独自の仮想通貨ではなく、今回はイーサリアムの下でのERC20の規格で簡単に作ってポイントカードの代わりなどに使える独自トークンのようなものについてです。独自トークンは市場にはあまりでまわらないので、取引をするのは困難です。通常は取引所と呼ばれる場所で上場しているコインやトークン同士は簡単に売買ができます。独自トークンで上場していないものは簡単には取り替えられませんが、最近ではアルゴリズムで動く自動の取引所DEXがあります。
DEXの取引相手も個人や企業となりますが、交換したい暗号資産がきちんとした量の在庫があることが重要になります。ほしい通貨に対して、きちんとその量が確保されていないと、その通貨を売りたい人がでて、在庫がたまるまで待つ必要があります。しかし、十分に在庫があり、いつでも簡単に取引ができる状態であれば、取引も活発化しますし利便性もあがります。DEXにも手数料が入る機会が増えます。
DEXでは、それらの在庫を豊富に持って個人や企業間での取引を活発化させるためにプールという仕組みを使って、個人から二つの通貨をペアで預けた人に手数料という形で利用者から徴収し、それを金利のような形で還元しています。これらをイールドファーミングと呼びます。こうすることにより、積極的に預けるインセンティブが高まり、十分な取引量を確保できるようになります。最近では、さらに独自トークンを付与するような仕組みもあり、これらは流動性マイニングと呼ばれ、二重での収益が出るようになっています。
量子コンピュータ分野でのこのような分野に対するアルゴリズムの研究としては、バークレイズとIBMによるmixed binary optimizationと呼ばれる取引機会の効率化と最適化のようなアルゴリズムもあります。これらは銀行や既存金融システム向けに開発されていますが、暗号資産の分野でも十分に利用できるでしょう。
暗号資産分野はとにかく計算が重要になりますし、最近は計算量がかさみ、消費電量が課題になりつつあるので、量子コンピュータ時代としては多くの取引を最適化しながら、その取引自体の電力量を減らすような試みによって活躍機会があると思われます。まだまだ時間はかかりますが、将来的な分散取引所などの新技術と量子コンピュータ技術を統合するというのはとても大きな可能性を感じますので、自分たちでツールを作ることを含めて研究開発の余地があるのではないでしょうか。以上です。