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[量子コンピューター Advent Calendar 2021]IBMやハネウェルのダイナミック量子回路によるテンソルネットワークとホログラフィック量子回路計算

Yuichiro Minato

2021/12/12 10:43

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こんにちは、日本語がなかったのでホログラフィック量子回路計算と名付けます。今回はかなり特殊な量子コンピュータの計算を見てみたいと思います。個人的にとっても興味がある分野でこの分野なら研究してみたいなと思う内容ですが、そういう分野は大体一般受けしないので困っていますが。。。

今回の話題のテーマは、

1,Dynamic Cirucit(ダイナミック量子回路)

2,MCMR

3,テンソルネットワーク

4,量子回路上でのテンソルネットワーク

5,ホログラフィック計算

となっています。簡単に言うとDynamic Ciruitと呼ばれるハードウェア上の機能にソフトウェアでのテンソルネットワークを組合わせることでホログラフィック計算と呼ばれる必要な量子ビットよりも少ない量子ビットで複雑な計算ができるような仕組みを解説します。

1,Dynamic Circuit

最近の最新機種に搭載され始めている機能で、簡単に言うと回路を動的に古典と組み合わせて操作できるようになっています。誤り訂正で今後必要だったり、量子テレポーテーションで利用したりと使えます。今回はこれを機械学習や最適化に使う方法を紹介します。

現在このDynamic Ciruictをサービスとして利用できるのはIBMとハネウェルのマシンとなっています。

参考

A New OpenQASM for a New Era of Dynamic Circuits

https://medium.com/qiskit/a-new-openqasm-for-a-new-era-of-dynamic-circuits-87f031cac49

2,MCMR

ダイナミック量子回路は量子ビットの測定の結果をほかの量子ビットに適用したり、間に誤り訂正の操作を入れてという使い方が考えられますが、MCMRはMid Circuit Measurement and qubit Reuseといって、一度回路の途中で量子ビットの測定を行い、その量子ビットを|0>に初期化して再利用するという方法です。これによって、特殊な計算をすることができます。

3,テンソルネットワーク

テンソルネットワークはベクトルや行列やテンソルといった線形代数の計算をネットワーク上に配置し、そのネットワークを最適化したり近似したりして計算を効率化します。特に量子コンピュータの分野では量子状態を近似したり効率的に計算するので最近はシミュレータに利用されますが、今回はこれを量子回路上で利用しています。

テンソルネットワークにはいくつかのモデルがありますが、今回はMPS行列積状態を取り上げてみます。機械学習ではたとえば画像認識のように隣接ピクセルを畳み込んだりとCNNのような手法がありますが、量子CNNなどはMERAと呼ばれるような構造が採用されていたりします。

参考

量子畳み込みニューラルネットワーク

https://www.tensorflow.org/quantum/tutorials/qcnn?hl=ja

今回はMPSと呼ばれる一次元のモデルを見てみます。MPSはよくいろんな文献で最近は紹介されてます。量子コンピュータの場合には、隣接する量子ビットの間の任意に決めた結合次元Dを利用して量子状態を近似します。

上記はMPSですが、丸が量子ビットだと思ってください。量子ビットは隣接する量子ビットと結合次元で量子状態が記述されます。結合次元は大きいほうがいいですが、計算のコストを考えて任意で次元を決定できるのがポイントです。問題に応じて結合次元を調整できます。また、上に出ている腕は01となっていて、例えば測定とつなげることで状態を確定して測定できます。腕が余った状態では状態ベクトルで表現されます。

通常量子コンピュータのシミュレータでは左から右へ量子回路を計算しますが、上記は上のほうに時間発展をします。計算の順序はテンソルネットワークの一般的な場合にはどのテンソル同士の計算をから行っても問題ありません。

4,量子回路上でのテンソルネットワーク

テンソルネットワークも量子回路で表現しようとすると途端に用途が狭まります。量子状態の作り方も特殊で利点が見えづらくなります。先ほどのMPS状態は量子ビットを表しますが、TN表現だと難しくなります。

上記の丸は量子ゲートとなっていて、1量子ビットゲートと2量子ビットゲートの組み合わせて上記MPSの結合次元を表現します。ただ、隣接の量子ビットの結合次元は2となっていて、量子状態はかなり表現が制限されてしまいます。結合次元を増やすには量子ビットを増やす必要があります。

上記回路に表現を豊かにするための追加の量子ビットを用意しました。これによって結合次元が増えてMPSの結合次元が表現されます。ただ、ここではテンソル計算で仮想量子ビット4つに対して量子ビットが5つ必要ですし、表現も小さめとなっていて利点があまり見られません。そこで最初のダイナミック量子回路とこちらのテンソルネットワークを組合わせることで利点が出ます。これがホログラフィック計算です。

5,ホログラフィック計算

MPS量子回路をよく見てみるとテンソル1の測定は最初のほうに操作が終わって後半は何もすることがありません。そのためMCMRを組合わせることで量子ビットを減らすことができます。

上記の測定位置を工夫することで、量子ビットの測定と初期化を行い、量子ビット数を増やして量子回路の深さ方向に回路を転換することができます。上記は3量子ビットで結合次元4の4量子ビットのMPSの計算ができるようになりました。こちらが少ない量子ビットで多くの量子ビットの計算ができることからホログラフィック計算と呼ばれています。

ホログラフィック計算は量子回路の配置によっては工夫することで量子ビット数を工夫することができます。最適化や機械学習に応用が可能です。最適化問題のように問題のネットワーク構造に偏りがある場合には大幅な削減ができるので、社会問題への応用も期待大です。

以上です。

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