気になっている方々もいると思いますので、新しいblueqatを少しずつ紹介していきます。まだ開発中なので仕様は変わります。
まず一番のポイントは利用できる量子ビット数がいままでの量子コンピュータSDKよりも格段に増えるということです。
今2018年にGoogleが達成したといわれる量子超越はまたスパコンで計算時間が抜き返されています。基本的にはGoogleが主張していた一万年かかる計算は、既存の計算手法をきちんと工夫することをしていなかったので、それらを工夫することでシミュレーション自体も高速化をすることができます。
今回blueqatでは、そのような最新のスパコンシミュレーション手法をコンシューマ市場に持ってくることで、blueqatでも100-数千量子ビット級の計算ができるようになりました。それこそ大きな計算をしたい場合にはそれなりにスパコンに近い性能の大きなマシンが必要なので簡単にはできませんが、今後少しずつ対応していきたいと思います。
シミュレーションが大きくなっても実機が大きくならないと意味がないじゃないかといわれるかもしれませんが、そこはIBMの1000量子ビット級超伝導や、各社の中性原子量子コンピュータが実機でこのボリュームゾーンをつかさどります。
基本的には使い方は変わりません。今まで通りblueqatを実行することで大きな量子ビットを計算できます。こちらは200量子ビットにHゲートやCXゲートを適当にかけて計算したものです。高速に計算できています。
ただ、トレードオフもあります。状態ベクトルと呼ばれる量子状態を保存するベクトルはフルで取得することができません。その代わり特定の状態の振幅を取ったり、サンプルを取ったり、ハミルトニアンの期待値を取ることになります。
実はシミュレータは多少のチートをしています。状態ベクトルを使うと量子コンピュータではできない計算ができて、計算を省略することができてしまいます。今回の新しいblueqatは状態ベクトルを基本的には使いませんので、サンプルやハミルトニアンの期待値を主に使っていくことになります。
実はこれも多少はチートをしていますが、より実機の挙動に近いものになるので、多少これまでのコードを書き直す必要があるところが出る可能性があります。ぜひ早めに対応していきましょう!