はじめに:量子業界が迎える“統合”の時代
現在、量子コンピュータ業界では、複数の量子ハードウェア(超伝導、イオン、中性原子など)を共通のミドルウェアで束ねて評価・運用する取り組みが進んでいます。
これは量子業界全体の効率化を目指すものであり、クラウドやAPI連携を通じて多様な量子デバイスを横断的に扱う方向性です。
しかし、blueqatが現在取り組んでいる半導体量子コンピュータの制御方式は、これら既存アーキテクチャとは根本的に異なります。
これまでと異なる“半導体的”な量子制御方式
私たちの開発している半導体量子コンピュータは、マイクロ波やレーザーによる制御を用いず、完全に半導体素子レベルでスピンを制御する新しい方式です。
この方式では、これまで量子コンピュータ分野で共通的に使われてきた制御ミドルウェアやAPI層が、そのままでは適用できません。
従来の量子デバイスが“物理的制御(レーザー、マイクロ波)”をベースにしたのに対し、
blueqatの方式はデジタル信号による半導体駆動制御であり、
符号化や論理合成の概念も半導体アーキテクチャに近い形式を取ります。
そのため、業界で進められている「水平統合」(複数ハードウェアを共通ミドルウェアで扱う形)はこの方式では成立せず、
半導体からミドルウェア、そしてアプリケーションまでを垂直統合(vertical integration)で設計し直す必要があります。
OSの原型となる“半導体量子ミドルウェア”
この課題を解決するため、blueqatでは独自の半導体量子コンピュータ用ミドルウェアを開発しました。
このミドルウェアは、既存の量子クラウドAPIやQiskit等の中間層を介さず、
半導体制御チップと直接通信し、論理構成・スケジューリングを行う構造を採用しています。
これは、従来の量子ミドルウェアよりもさらに下層に位置する、
いわば「半導体量子OSの原型」とも呼べるレイヤーです。
この仕組みにより、
- 半導体特有のデジタル駆動制御に対応
- 符号化・論理合成を半導体的構文で最適化
- マイクロ波レス(microwave-free)な動作を前提とした設計
が可能になります。
既存クラウド契約企業への先行提供
今回開発したこのミドルウェアは、まずはblueqatクラウド契約を結んでいる企業・研究機関に優先的に提供します。
実際の半導体量子コンピュータを使ったアプリケーション開発・評価・最適化にご活用いただけます。
この環境を通じて、企業や開発者の皆様が、
従来の量子プログラミングとは異なる**“半導体的量子制御”の開発体験**を得られることを期待しています。
おわりに:新しい量子の地図を描く
量子コンピュータの世界は今、水平統合(共通ミドルウェア)と垂直統合(完全専用スタック)の二つの方向に分岐しようとしています。
blueqatはその中で、半導体の原理に基づいた完全垂直統合アーキテクチャを構築し、
量子を「半導体技術として扱う」時代を切り拓いていきます。
半導体量子コンピュータのミドルウェアおよびアプリ開発に関心のある企業は、
クラウド契約担当または info@blueqat.com までお問い合わせください。
次の量子のスタンダードは、ここから始まります。