こんにちは、量子コンピュータの世界の投資額がとんでもないことになってきました。量子ゲート型のイオントラップや中性原子量子コンピュータに対する世界的な投資が米国やドイツをはじめとして本格化しています。数百量子ビットの量子ゲート計算が珍しくなくなってきた2022年を見てみます。
1,IBMやRigettiの4000量子ビット計画
先行しているのが超伝導方式です。量子ビットをとにかく増やすという方向性にあるようです。実際ロードマップが提供されています。しかし一つだけ大きな問題があり、超伝導方式はQVという量子コンピュータの性能を示す指標がかなり悪く、実質的には超伝導を使っても計算ができないという課題は結構な企業からでています。なので、数は増えているが計算ができないというのがあり、実質的に課題が解決されているわけではありません。実際Rigettiは結構派手なロードマップを提供していますが、株価はどん底となっていてIonQのイオントラップ方式と比べると暗雲が立ち込めています。
2,中性原子量子コンピュータ
代わりに米国やフランスを中心に急激に勢力を伸ばしているのが中性原子と呼ばれる方式で、数百量子ビットの計算が見込まれています。アナログ量子計算とデジタル量子計算が見込まれていて、現在米国のQuEraからはアマゾンで使える256量子ビットのアナログ量子プロセッサが公開されており、工夫するとQAOAなどが実行できます。デジタル量子計算の実装と提供はこれからとなっていますが、すでに256量子ビットの計算はシミュレーションも困難な領域となっています。今後QuEraやPasqalからは1000量子ビット級の計画も出ていて、計算精度と量子ビット数の両立が達成できそうな方式の最有力となっています。
3,GPU量子コンピュータシミュレータ
手前味噌で申し訳ありませんが、GPU量子コンピュータのシミュレータは二種類が現在提供されており、新方式のテンソルネットワークシミュレータは数百、数千量子ビットの量子ゲート計算が見込まれており、すでにNVIDIA社では900枚近くのGPUをつかったスパコンで5000量子ビット・1万ノードのmaxcut問題を量子ゲート方式のVQEで達成しており、かつエラーがないので精度が確保できるという状況になっています。
量子ビット数が増えてますし、明らかに計算できるアプリも増えています。また、100量子ビットを超えるとこれまでの使えると思っていた方法が使えないなどの知見も増えてきました。具体的には普通のQAOAが意外とパフォーマンスが悪いというのがイオントラップや中性原子からわかってきています。ですので、それに対しての解法の身長も見えています。
また、イオントラップは量子ビット数が増えない代わりに精度が増えているのでFTQCに近い計算できるようになってきました。どちらの方向が良いのか現状ではわかりませんが、少ない量子ビットで精度の高い計算VS多い量子ビットで精度の低い計算のどちらかが今後も進みそうです。
以上です。