こんにちは、SEMICONにて結構いろんな質問をいただきました。一番多かったのはやはり量子チップそのものについてでした。素人ですが、ちょっと解説してみたいと思います。
量子コンピュータは新しい原理で計算する計算機ですが、半導体を使っても開発ができます。今回は現在弊社でも開発を進めている電子を利用した半導体量子コンピュータを紹介します。
FinFETは最近の半導体において最新のプロセスで利用される手法で、3次元構造の工程で、ゲートとの接点を増やすことができるということです。
参考
今回セミコンで展示した量子ビットは、シリコンスピン量子ビットと呼ばれるもので、FinFET構造を利用して、電子を制御します。
ソース側から単一の電子を供給し、両方のバリアゲートで囲むようにプランジャーゲートの下に電子をトラップします。トラップされた電子には一方向の磁場をかけることでゼーマン分離によってアップダウンのスピンが実現され、そのスピンを交流磁場で回転させるように計算をします。量子コンピュータでは、スピンの方向が計算に相当します。
ゲートの線幅も聞かれたので、現状は20nm程度のようですとお答えしました。そもそもFinFETを利用できる商用設備も限られていると思うので、今後も量子コンピュータもより性能を上げるためにさまざまな最新技術を導入して発展していくと思われます。
日経の記事では、下記のように量子ドットが格納されてるのがわかります。
引用:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07064/
今後複数量子ビットを実現するには、このパターンを連続させることにより多数の量子ビットを実現できます。
今後は量子ビットの数を増やしながら、個別の量子ビットの制御をどうするかという問題もありますが、基本エンジニアリングの仕事となっていて、機材の調達や人材育成が主な課題となります。
また、今後チップレット集積など異なる機能の半導体チップを集積し、量子コンピュータの性能を拡充していくという予定もあり、大変楽しみな分野です。別途完全国産冷凍機も出来上がってきており、半導体を利用した量子チップの開発は本格化してきました。
今後急激に量子ビット数が立ち上がることが想定され、かつその制御もCMOS半導体の既存商用ラインを利用して開発が進んでいますので、ダークホースの如く今後急激な追い上げを期待しています。
ぜひ半導体と量子を頑張りましょう!