こんにちは、新しい発見をしましたのでお知らせします。2019年までの量子コンピュータ業界の流れは、垂直統合と呼ばれるメーカーがハードウェアからソフトウェアまでを提供する仕組みでした。IBMのチップをIBMがクラウドで提供、GoogleのチップをGoogleのクラウドで提供という流れです。そのた、RigettiやD-Waveなどもその部類に入ります。2020年からは大きく流れがかわり、クラウド業者が複数のハードウェアを提供するオープンハードウェアに突入しました。
IBMはIBMのマシン、GoogleはGoogleのマシンを提供する垂直統合ビジネス。AmazonのawsとMicrosoftのazureは複数ハードウェアを提供する水平分業ビジネスを展開してきましたが、ここにきてGoogleとIBMが方針転換をしてきました。特にGoogleは自社開発のシカモアを提供する予定でしたが、ローンチ直前になって、複数のイオントラップマシンのサポートを始めています。
IonQ API Service | Cirq | Google Quantum AI
GoogleはCirqと呼ばれるSDKを提供していますが、Google Quantum AIのページでは、オーストリアのAQTと米国のIonQとフランスのPasqalのサポートが追加されています。特にIonQはかなり本格的に対応しています。これはこれまでの垂直統合の超伝導のシカモアの提供から複数ハードウェアをまんべんなく提供する水平分業への転換を意味します。これはかなり大きな流れとみていいでしょう。実際Google社のハードウェア責任者のジョンマルティニス氏は2019年にGoogleを辞任してシリコン量子ビットと呼ばれる、次の世代のマシンを作り始めています。
IBMのQiskitからIonQのサポートも始まりました。
IonQがIBMの量子コンピュータ開発キット「Qiskit」をサポート | TechCrunch Japan
IBMがIonQを正式採用するかどうかは微妙だったのですが、Qiskitの公式なコントリビューターとして認められたことによって、超伝導をこれまで開発してきた業界がもはやイオントラップの性能を無視できない、かつ量子クラウド4強のIBM,Amazon,Microsoft,GoogleのすべてがIonQをサポートしているということは、もはやこの新しいハードウェアの性能を無視できないというところまで来ており、ほぼこの先4年はこのイオントラップマシンが事実上のデファクトスタンダードとなるという傾向を示していると思います。
IonQはSPAC上場を果たしており、キャッシュも600億ありハードウェア開発の事業化には十分な資金力です。かつ、利用している一利用者からしても十分FTQC世代に耐えうる性能を実現しているということで期待感があります。以上です。