お世話になります。量子コンピュータ業界は大変変遷が早いですよね。弊社は今後、blueqatSDKを利用した量子計算専用のプラットフォームを縮小し、blueqat Tensorと呼ばれるテンソルを利用した機械学習と量子計算に方向を変えていきます。昨年より何社かトライアルを通じて大きな成果を得始めています。
そもそも量子コンピュータにおけるGoogleの量子超越に対して、テンソルネットワークと呼ばれる手法でスパコンでの高速化が実現されています。また、NISQと呼ばれるマシンでは大きな量子もつれを作ることには今のところはうまくいっておらず、接続の少ないマシンもしくは、エラー率が少なく結合の多いマシンのどちらかとなっており、現時点でも十分既存コンピュータで効率的に計算ができる範囲に収まっていると思われます。
このような状況を今後三年で見たときに、大幅な改善が見られる傾向がないため、地道にNISQ量子コンピュータを行うか、10年20年我慢してFTQCをやっていくかの現状となっていますが、NISQは有用なアプリがなく、FTQCは実現が遠いために企業や民間での活用が難しくなってきている現状があります。
一方で、機械学習分野はGPUを含めた大きな発展と事業化を実現しており、世界中で量子コンピュータからAIへと予算を割り振り直す事例が増えています。量子は基礎研究として継続し、応用としての実用化はいまだに見えない状況です。
ただ、一方ですでに量子コンピュータ分野への投資を進めていた企業の論理は研究界とは異なり、三年ごとの投資回収や事業化目標がありますので、それらを満たす必要があります。本来は量子アニーリングや量子ゲートによる量子化学計算や量子機械学習などの分野において発展が実現し、現在のコンピュータで原理的に計算が難しいような難問を解くということが期待されていました。しかし現在では多くの場合は、理想的な既存コンピュータでのシミュレータを使った訓練に止まっており、実用化に程遠く、事業化を期待していた企業は肩透かしをくらい、大きく現場も困惑している状況です。
こんな中blueqat社ではこの事態を打開すべく、blueqat Tensor(テンソル)として、将来的には量子コンピュータにうまく繋げられる道筋を残しつつ、既存のGPUに量子技術を応用することで多くの問題を効率的に解く手法を開発しました。具体的には、GPUを利用して、量子回路のシミュレーションなどに利用されるテンソルネットワークを利用し、既存のニューラルネットワークを効率化します。より具体的にはニューラルネットワークのパラメータを圧縮し、より少ない計算リソースで大きなモデルを扱ったり、場合によっては高速化を実現するといったものです。
本サービスは、量子計算を扱いながらも利用するフレームワークはPyTorchやTensorFlowなどの既存機械学習フレームワークを利用し、またマシンとしては最新のNVIDIAのGPU環境を扱います。また、最近ではNVIDIA社からcuQuantumと呼ばれる量子コンピュータフレームワークが開発されており、その中に搭載されるcuTensorNetを利用するなどして既存機械学習を利用できます。
モデルはさまざまなDNNが利用でき、画像認識などのCNNや時系列のRNN、グラフを利用するGNNやRBMなどのモデルにも適用できます。また、Bertモデルや最新のTransformerモデルなどの言語モデルにも対応できます。そして当然ですが、同じように量子回路にも利用できるため、量子化学や最適化、量子機械学習などのNISQ向けの量子古典ハイブリッド計算などに利用できます。(FTQC向けのアルゴリズムにも利用できますが、量子もつれが大きい課題に関しては状態ベクトルシミュレータをおすすめしています。)
既存のフレームワークはニューラルネットワークにおいて多くの最適化が施されており、高速化を実現するのは至難の業ですが、比較的取り掛かりやすいパラメータ圧縮などはおすすめです。パラメータ圧縮には主にテンソル分解が利用されますが、量子計算に向いているテンソル分解や、テンソルネットワークモデルの縮約最適化のほか、さまざまな分解手法や最適化手法がありますので、モデルごと、プロジェクトごとに探索をしている状況です。
本プロジェクトで取り掛かるにはGPUの利用を強くおすすめしています。弊社のクラウドサービスはblueqat Tensorに特化した形でセットアップされ、利用されていますので、ぜひモデルの改善や最新の量子技術の活用や広報への利用は弊社にお問い合わせください。
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