こんにちは、全国の量子コンピュータでの仕事を目指す皆様。インターンの講義6回分が一通り終わった人も出始めており、感想を述べたいと思います。
1.量子の知識が最初からある人はほとんどいない
ちょっと前までは量子コンピュータをやる人は物理学系のある程度量子計算に素養がある人が多かったです。今回のインターンではほとんど量子の素養がない状態で量子コンピュータにチャレンジしたいという人が多く、ちょっとびっくりしました。時代が変わっているのだと思います。説明の仕方も少し変化させたほうがいいかもしれません。
2.量子と関連のある古典領域を取り上げたほうがイメージがつきやすい
古典コンピュータと量子コンピュータを両方比較しながら進めるということにまだ意味があるステージとなっていて、両方を進めました。しかし古典と量子が対応しない分野もあります。一見対応しているようであまり対応していない。そもそもきちんと対応しているアルゴがないともあります。
具体的には、機械学習のGBDTは対応アルゴがありません。qboostというのが開発されていますが、そのものではないです。また、量子アニーリングとシミュレーテッドアニーリングは対応しているようであまり対応していません。問題の解く過程が全く違いますので、相互の知識が応用されることがあまりありません。一方pytorchのようなニューラルネットワークモデルと量子計算のモデルやステップは量子古典だと共通点が多いので学びやすいというのがありました。boostingやqaのようなアルゴリズムのほうが理論的には明確で面白いので学びがいはあるかもしれませんが。
3.テンソルを理解する
PyTorchを行うと、テンソルが出ます。テンソルそのものを学習する人は実践的にはまれかもしれません。量子計算はパッケージ化が進んでいませんので、テンソルの理解が現状は必要になります。特にしばらくこれからはテンソルを使いこなすような仕事が増えると思います。
4.微分を理解する
パッケージ化が進んでいないため、最適化アルゴリズムと微分もきちんと理解してソフト開発をする必要があります。勾配ベースのアルゴリズムは鉄板なので、自動微分含めて微分パッケージの開発も今後必要かと思いました(量子古典ハイブリッドで勝負する人は)。
5.直接インターンではないがFTQCで勝負するかNISQで勝負するか
弊社はFTQCも調査しましたが、社員のモチベーション含めて今はFTQCではやらずNISQ中心の取り組みを今後も継続していく方向性となりました。将来的なFTQCがあるということを認識しながらも、どちらをやるか決めるのも大事かと思いました。
6.いい問題設定が存在する
今回の成功事例は、問題設定でした。問題設定を社会問題として設定する場合、いい問題設定は量子コンピュータのような最先端技術の必要とされている分野をうまくカバーするような問題設定が存在するということを知れてよかったです。よく知られた古い問題設定を取り上げる場合、それに対しての解決方法がすでに提示されていることが多く、新技術の場合には問題設定自体を最新のものにする必要があり、そのようなものとは比較的相性が良いというのがわかりました。だからこそ新技術が注目されて期待値が高くなるというのも理解できたのが良いところです。
まだまだ量子技術はマイナーなんだなという印象を受けましたが、新しい分野から興味をもって参加してくる人がとても多かったので、そのような受け入れとツールの充実を速めたほうが良いかなと思いました。以上です。