量子コンピュータ事業化始めて7年、資金調達して3年たった今、世界的に量子コンピュータの早期実用化の道は絶たれ、もはや使命感しかなくなった

量子コンピュータに参入してからというものの安心して寝れる日は皆無です(比喩表現です。毎日ぐっすり寝てます。)。湊です。


量子コンピュータはとにかく難しい

2014年に量子コンピュータに一足先に参入して世界征服をしてしまおうという夢は2021年では砕け散りました。もはや今の状況では量子コンピュータの早期実用化は絶望的といってよいと思います。それでも、量子コンピュータ業界の中では、大体の人はまぁしかなたいよねという見方だと思います。量子コンピュータの難しさというのは仕方がないもので、簡単に人間が制御できるような代物ではないです。世界で天才と呼ばれる人たちが束になってもかなわない、それが量子コンピュータです。


さて、量子コンピュータは量子アニーリングはD-Waveが方針転換するほどの状態ですし、NISQの事業化は失敗してしまいもはや高速化も得られず厳しい状況です。組合せ最適化も量子化学計算も機械学習もほぼアプリケーションの実用化は10年(以上)さきまでお預けの状態となりました。


これからは、正統派であれば誤り訂正付き量子コンピュータの実現に向けてくじけることなく邁進する状況です。10-20年かかると思いますが、やってる人からしたら特にストレスなくやっていけると思います。まともに考えると事業化や収益化は難しいですし、これまでと同じような状況が続くと考えられるわけです。


今後は量子アニーリングの本家D-Waveが方針転換をし量子ゲートへ向かいます。かなりいばらの道だというのは聞いてますが、もう覚悟は決まっているようですので、みんなで頑張りましょう。量子コンピュータ業界とはそういうところです。


量子ゲート方式も今後は誤り訂正と呼ばれる多くの量子ビットを消費して、論理量子ビットと呼ばれる理想的な量子ビットを物理的な量子ビットを複数組合せて実現するというフェーズに入ります。すでにIonQやHoneywellはイオントラップ方式で実現をし始めています。


光量子は別の道

光量子コンピュータもありますが、現在の主流の量子ビット型とはちょっと事情や難しいところが異なり、ここでは一緒に語るのを避けたいので、BosoniQという別会社にしました。


https://www.bosoniq.net/


光には独自の面白さがありますし、これからの盛り上がり方はビット型の量子コンピュータとは重なるところと異なるところがあると思います。現に、最近ではGoogleの量子チームも光量子系の研究を始めていてGBS論文を出しています。


https://arxiv.org/abs/2109.11525


僕は今後部分的に光量子の理論やアプリケーションには技術的な面や経営的な面では関わりますが、基本的には永井君にお任せしてしまいます。光量子コンピュータ業界は量子ビットとは異なる方法で発展をしていくのが幸せかなと思います。


量子ビットを増やす、小型産業化をしてマシンを増やす

鶏が先か、卵が先かですが、量子コンピュータの台数が増えれば発展する気もします。なので、量子ビットを増やしながら、量子コンピュータの量産化を進めていくというのが大事になりそうです。あまりにも世界に量子コンピュータの台数が少なすぎますので。


日本は量子コンピュータで出遅れていて、量産化に対する知見が遅れています。世界では量産化が加速しています。


1,光マシン

2,イオントラップ

3,シリコン


この三つの選択肢がありますが、光量子マシンは上でも触れている通り、別の道を歩んでもらいます。イオントラップはIonQやHoneywellが取り掛かっており、最近の全量子コンピュータのベンチマーク比較でもイオントラップマシンは性能をダントツで伸ばしています。しかし日本ではイオントラップの産業化は進んでおらず現実的には選択肢に上がりません。


シリコン量子コンピュータをファブレスで開発

ということでblueqatではシリコン量子ビットを事業化するしかありません。シリコン量子ビットのうち、シリコン量子ドットと呼ばれる電子のスピンを扱ったマシンの開発を通じて、かなり難しいですが産業小型化をしなくてはいけません。先日日立製作所さんが128の量子ドットマシンを発表していましたが、制御は別として、まずは128の電子のトラップからスタートしていますが、半導体のシリコン量子ビットは既存の半導体設備を利用するので作り方が似ているのが特徴です。冷凍機が小型ですみ、周辺機器も少なくて済むので、先行しているイオントラップのモジュール化、サーバーラック型への搭載が2023年に予定されているのでその後を追うように2024年ごろから急激にシリコンもニュースが増えるでしょう。シリコン型で検討しないといけない項目はたくさんありますが、量産化に関しては最後はお金の問題になってきます。とにかくシリコン量子ドットの開発を急ピッチで進めて成果を出し、産業化、量産化への道をファブレスという形でつけるしかblueqatにできることはありません。


機材は電源や制御装置、小型冷凍機、チップとなりますが、現状ではすべての調達めどが立ちましたので、あとは調達と設置となりました。関係者の皆様にはここまでの道筋をつけていただき大変感謝しています。あとはもうちょいビジネスモデルと社内体制を整えて(光量子ベンチャー含む)スタートです。小型化に際して行うべき課題も見えてますので、あとは進めるのみとなりました。これは、今後10-20年かかるといわれている産業化を5-10年前倒しするための開発に相当します。イオントラップではIonQやHoneywellがすでにリアルタイム誤り訂正、誤り耐性を実現し始めているので、確実に量子コンピュータのFTQCの時間軸は予定よりも早まっています。


量子コンピュータアプリ市場の立ち上がり

弊社は量子コンピュータ向けのソフトウェア開発に他社製品を使わず自社開発のblueqatSDKを利用しており、クラウドシステムblueqat cloudを持っています。これによりプラットフォームビジネスを行うことができており、最近では量子コンピュータのアプリの販売が好調です。簡単に言うとアプリを売りたい企業と買いたい企業がいて、売買を行います。とても需要があり、チュートリアルを中心に売買が進んでおります。今後しばらくはこの量子コンピュータアプリの販売の活性化に力を入れたいと思います。これは2018年に資金調達をして立ち上げたクラウドシステムの、次のフェーズの発展となります。高くたくさんアプリが売れて、安くいろんなアプリが買えるような環境を作れるように開発者コミュニティの維持とともに頑張ります。


ただ、これはおそらくしばらくはチュートリアルや学習という形がメインとなり、本格的な実用的なアプリケーションからはまだまだ程遠いアプリ市場として変遷していくと思います。


クラウドアプリ市場を維持しながら革新的量子コンピュータを作って普及

ということで、これからしばらく行うことは、クラウドサービスを通じて弊社のblueqatSDKを利用したアプリ売買市場の創出と、革新的シリコン量子コンピュータのファブレスでの量産化を早期に実現することです。と、これだけならまだ時間もかかりそうだし、お金も儲からなさそうな感じがします。しかし、世界で出遅れずに前もって量子技術で最先端を進むためには多少の先行投資も必要です。それらは実益とともに使命感も大事で、今後の日本の発展を大きく左右する量子コンピュータ技術に対してある程度のblueqat社の犠牲も必要という使命感があります。


気候変動シミュレーション、再生エネルギー

最近のホットトピックとして気候変動と再生エネルギーがあります。弊社では再生エネルギーを重視しておりプロジェクトを進めています。量子技術を未来の技術としてみるのではなく、物理学の視点から量子技術を既存の技術にあてはめる、量子コンピュータのテクニックを使うことで既存の技術を高速化することもできます。これは量子インスパイアとも呼ばれますが、弊社ではより広い視点で多くの既存技術の高速化や実用化に成功しています。


今後は化石燃料の依存から再生エネルギーへ移行していきます。不安定な再生エネルギーはエネルギー供給源として不適格という人もいます。しかしそれらはテクノロジーによって大きく変化し、安定化され始めています。私たちは再生エネルギーがIT技術や金融技術によって動的に安定化されていくと考え、最新テクノロジーの現場への量子技術の還元、クラウド技術の還元などを行っています。


また、自動車自動運転、最新マテリアルインフォマティクスなど量子技術だけでなく、最新のインターフェイス技術を含めた多くの技術スタックをこの3年のクラウドサービス運用で活用し、ビジネスへ応用していきました。今後は、10-20年後に使える量子技術だけでなく、2021年にすぐに使える独自技術に関しても提供を広く進めていきますのでご期待ください。


マーケティング技術

そして、これまで培ってきたマーケティング関連技術に関しても最近特に要望が高まってきていますので、未来の量子技術から応用される現在の技術を活用してパーソナライズやマーケティング精度・速度向上のアルゴリズムなどすぐに収益化に貢献できる技術も提供を開始していきます。躊躇している場合ではないので、マーケ分野にも積極参入して積極技術開発をしていきます。すぐに収益のとれる技術を中心に開発します。


まとめ

量子コンピュータの実用化は容易ではないことが分かりました。未来の技術を常に開発することも大事です。一方で、この3年は量子技術を応用して既存のIT技術分野への進出がうまくいき、収益化を実現することができました。未来の技術と現在の収益の両立が唯一の道と強く確信しましたので、この方向性でしばらく頑張ります。以上です。

Yuichiro Minato
blueqat CEO/CTO 2015年総務省異能vation最終採択 2017年内閣府ImPACTプロジェクトPM補佐 2019年文科省さきがけ量子情報処理領域アドバイザー
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Yuichiro Minato
blueqat CEO/CTO 2015年総務省異能vation最終採択 2017年内閣府ImPACTプロジェクトPM補佐 2019年文科省さきがけ量子情報処理領域アドバイザー
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