こんにちは、久々量子コンピュータのトレンドについて書きたいと思います。新型コロナの中、いろんな動きがありまして、整理します。
イオントラップ
イオントラップ型量子コンピュータで、Honeywell社とIonQ社に人材が集まっています。ゲートマシンになっていますが、IonQなんかはGoogleやIBMからも人材を引き抜いており、かなりの人材とスケールをするようです。また2023年までにデータセンターにおける小型のラックマウントの常温量子コンピュータのリリースも告知しており、常温動作、スケールアウトの計画を立てています。
パブリッククラウド
amazonはbraketをすでにスタート、microsoftはazureを近日公開、googleはgcpをスタート予定という感じになっています。amazonはかなり人材を集めており、さらにパブリッククラウドの各種サービスとの連携も進めており、sagemakerをはじめとしたエコシステムをうまく利用しているなと近くで見ていて思います。また、quantum solution labにもかなりの有名人材が続々集結しており、とにかく凄みを感じます。azureもそれに対抗しようという気概を感じます。googleは控えめな印象を受けます。これはそのままパブリッククラウドの勢力図そのままな感じがします。
量子機械学習
amazon braketへのpennylaneの導入やtensorflow quantumをgoogleが推しているように、アプリはちょっとずつ量子機械学習が伸びている気がしますが、何しろ課題がまだまだ多いですので、量子コンピュータ業界はちょっとずつという感じでしょうか。入れ替わりに組合せ最適化問題は聞かなくなってきました。
超伝導マシンは大型化
超電導はこのまま大型化が進みそうです。IBMが完全に先行していて、Googleが後を追う感じでしょうか。一部人材はシリコン量子ビットの方にも移動しているため、この辺りは超伝導とシリコンのバランスがどうなるかという感じかと思います。
シリコン量子ビット
まだ原理検証段階とはいえ、大規模化を考えて急激にシリコン量子ビットも注目されています。イオントラップの次の方式として注目を浴びるのはほぼ間違いがなさそうです。
誤り訂正
NISQがあまり性能が伸びません。200量子ビット程度でも伸びないという論文が出始めていることもあり、多分伸びなさそうな気がするので、大手は各社誤り訂正に完全に舵を切っています。現状は誤り訂正が計画に入っていない企業はないくらいになってきました。
光量子コンピュータ
中国の量子超越もあり、PsiQやXanaduのニュースもあり、光量子コンピュータは順調に注目が集まっています。ガウシアンボソンサンプリングにも成功してますし、プログラマブルな汎用量子コンピュータの路線として結構立ち上がってきているのではないでしょうか。
テンソルネットワーク
もはやシミュレータはほぼテンソルネットワークをみんな採用していますね。中国や米国大手はほぼこれだと思います。Googleは部分的に、IBMも採用していて、特に中国は機械学習も強く、テンソル計算が強いため、テンソル計算を利用した最適化や機械学習の論文が増えていて、中国大手もテンソルを重視しているような気がします。この視点は多少個人的な趣味も入っていますが、、、
まとめと今後
今はソフトウェアは、NISQが期待外れということがほぼ評価が固まりつつある中で、引き続き量子古典ハイブリッドを使いながら、次のフェーズへの過渡期な気がします。イオントラップ優勢の見方ですが、超伝導は先行している部分を伸ばしながら、今後はシリコン量子ビットも少しずつでていくるという感じでしょう。また、光マシンのハードウェアも順調に伸びているのですが、光マシンのソフトウェアがどうなるかというのも見ものです。
金融計算などはエラー低減、誤り訂正必須の領域なので、今年は切替、過渡期でプレイヤー変更の時期なので様子見と次への準備期間とするのがいいと思います。以上です。