こんにちは、量子コンピュータ業界は進捗が速いですよね。今回は全く新しい流れが出始めているということを紹介したいと思います。
この度blueqat cloudではゲートマシンのIonQとRigettiをサポートし、たくさんの資産を実機で動かせるようになりました。これまで記事では、位相推定と振幅増幅という誤り訂正を想定したアルゴリズムを実際にIonQとRigettiで動かした記事を出しました。まだまだ性能的にはいまいちなのですが、IonQにおいてはある程度動くめどが見えてきた感じがします。
そのような中でこれまで2015-2019年にはやったNISQと2020年-からはやり始めているFTQCアルゴリズムを見てみるとやはり先端はFTQC向けが増えていると思います。それには新しいハードウェアの流れとソフトウェアの流れを把握する必要があります。
まず、NISQ向けに開発されたVQEはFTQCではほぼ利用しないので、QPEと呼ばれる新しいソフトウェアをまた開発をする必要があります。QPEも量子状態準備、位相キックバック、逆量子フーリエ変換と実装すべき機能がサブルーチンとして準備されていますが、現状のマシンでは一度の実装は難しいと思います。量子状態はとりあえず準備できたとして、最初は位相キックバックで制御ユニタリの実装があります。その後難関な逆量子フーリエ変換もありますので、初期は逆量子フーリエ変換を利用せずに実装など、工夫が必要です。
QPEの時代に入ると量子化学以外にも暗号解読にも利用ができるようになります。FTQCアルゴリズムはNISQとは異なり量子コンピュータ単体での利用が前提ですので使いやすくなる面もありますし、純粋に速度向上も見えやすくなってきました。
金融に利用されるQAEやQAAの実行も少しずつ可能になってきていますので、FTQC向けの開発が加速すると想定されます。誤り訂正の実装のほか、アルゴリズムも順調に開発が進むでしょう。
肝はハードウェアで次の記事で書きますが、イオントラップ方式がこれからの4年間で主流になる気がします。量子ビットが少ない範囲ではエラーが極端に少ないためエラー訂正不要でFTQCアルゴリズムが動く。常温で動作するのでサーバールームへの搭載が想定される、誤り訂正も少ない量子ビットで可能になる、アルゴリズムが実機で動くので検証が容易と利点があります。
ボストンコンサルティングレポートが2019年に発表したレポートでは今後ハイブリッドのNISQ時代から量子コンピュータ単体で利用するFTQC時代が始まると市場規模が大きくなるとあります。まさにそのようなタイムラインで事が進んでいますし、着実に成果が出始めているので2021年すでに次世代に入っていると思いますので、ぜひ実機を活用したFTQC(機械学習はまだNISQ)に取り組んでみてください。以上です。