量子コンピュータも種類が多すぎてよくわからないし、マイクロソフトのトポロジカル量子コンピュータが撤回されたりと結局どれなの?ってわかりづらいですよね。まとめます。
現在世に出ているのは2方式のみ
現在私たちが量子コンピュータとして利用できるのは、チップに超伝導素子を載せた超伝導タイプとイオンを空中に浮かしたイオントラップタイプの二種類です。今回はこれに続く第三の量子コンピュータを紹介します。
その前に光量子コンピュータは?
光量子コンピュータはxanaduやpsiQからのリリースが予定されていますが、ソフトウェアとしてはこれまでの量子ビットタイプとは全くことなる方式です。もちろん今後はどの方向に行くかはわかりませんが、現時点ではユーザーコミュニティやツール類は量子ビットにはまだ及ばずほぼない状態で、これからの発展次第になりそうですので、今回は第三の量子コンピュータとは別にします。光量子コンピュータ界隈はソフトウェアユーザーコミュニティの構築をもっとやるべきだと思います。
第三の量子コンピュータ
ということで、超伝導量子ビット、イオントラップに続く第三の量子コンピュータはインテル社やTSMC社が開発を進めているシリコン量子ビットです。シリコン量子ビットはイオントラップの次の方式として開発が進められており、現在は数量子ビットでの原理検証段階で、商用化は2030年くらいでしょうか。しばらくはイオントラップ方式が業界を引っ張るので大丈夫だと思いますが、今後の商用化に期待です。
比較的高温で動作
まず、特徴として比較的高温で動作します。超電導は10mK程度の冷却が必要でした。シリコン量子ビットは比較的高温の4K程度が想定されており、最近インテル社によって開発された実験装置は1.7Kの高温で動きます。産総研では10K程度で動作するシリコン量子ビットも開発されており、高温での動作が特徴です。
集積化に優位性
超伝導量子ビットの弱点はそのサイズで、肉眼で見えるほど巨大です。シリコンでは既存の半導体技術をフルに使いながら、集積化が可能で、数百万、数億量子ビットの集積化が期待されています。
複数量子ビットの動作が困難
シリコン量子ビットの課題は2量子ビットゲートなどの複数量子ビットの計算がまだ進んでいないことです。相互作用の計算がきちんとできれば今後の発展に期待が持てて集積化も進みそうです。
エラーも重要
エラーが抑えられれば量子ビットが平面上に配置されていることはそこまで問題になりません。ハネウェルマシンも行っている通り、離れている量子ビット同士はswapによって状態を入れ替えて場所の変更ができます。そのため接続していない量子ビットの計算でも入れ替え操作を連続することで計算ができるので、平面的な制約は課題にならないことがあります。
今後の発展に注目
Googleの超伝導量子ビットの世界の第一人者がシリコン量子ビットに移籍し、Googleは超伝導の開発が困難になり、シリコンに対する期待が大きく上がりました。超伝導はIBMを中心に開発が進み、今後はイオントラップとの共存をしながら業界が発展し、そこにシリコンが乗り込んで群雄割拠になると思われます。以上です。